2003 Fiscal Year Annual Research Report
海底熱水環境での前生物分子進化と自己触媒型分子セットの出現
Project/Area Number |
14340121
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
松野 孝一郎 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (10120346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 栄一 長岡技術科学大学, 工学部, 教務職員 (30134977)
羽鳥 晋由 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (00283036)
本多 元 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (20192742)
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Keywords | オリゴヌクレオチド / オリゴペプチド / トリメタリン酸 / リン酸化反応 / 進化フローリアクター / 海底熱水環境 / 物質進化過程 / 触媒 |
Research Abstract |
本研究が着眼したのは,海底熱水噴出孔から噴出される熱水とその周りに広がる冷海水の界面において進行する分子重合過程である.本年度は,海底熱水噴出孔を模した,温度設定の異なる2種の進化フローリアクターを実験室内に建設し,オリゴペプチドとオリゴヌクレオチの生成過程において現れる触媒分子の探索を行った. グリシン,アラニン,アスパラギン酸,バリンの4種類のアミノ酸を原料とする出発反応溶液を高温高圧部220℃,24MPaの条件下で進化フローリアクターを運転したとき,120分経過後の生成物群には多種多様なパターンが現れることを確認した.その要因となるのは温度やpHなどの示強パラメータではなく,アスパラギン酸およびその化合物が造る反応生成物であることが判明した.この事実はアスパラギン酸がオリゴマーの構成素材としての役割ばかりではなく,オリゴマーの生成を促進させ,触媒として機能を有することを示唆する.このことは,化学進化の過程でも,生成物質間での相互作用による選択・淘汰が起こり得ることを明示する.また熱水環境においては,アミノ酸のラセミ化が進み,金属イオンの種類によってエナンチオマ過剰率に差が生じた.この結果は熱水環境ではL-体,D-体の光学安定性に自発的な偏りが生じることを示唆する. AMPのリン酸化が進化フローリアクター内で進行し,さらにイミダゾール存在下においてオリゴマーの生成を確認した.リアクター運転の長時間化により3量体以上の分子量を持ち,3'-ホスホジエステル結合を有する物質が生成された.この実験事実は熱水環境が核酸の重合反応を促進する環境でもあり得たことを意味する. 海底熱水環境がオリゴペプチド,オリゴヌクレオチド生成のそれぞれにおいて,反応物が次に起こる反応に影響を与え,かつそれらの反応が触媒型分子の出現をうながす,とする所期の研究目的に対してそれを肯定する結果がここに得られた.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Yokoyama, A.Koyama, A.Nemoto, H.Honda, E.Imai, K.Hatori, K.Matsuno: "Amplification of Diverse Catalytic Properties of Evolving Molecules in a Simulated Hydrothermal Environment"Origins of Life and Evolution of the Biosphere. 33. 589-595 (2003)
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[Publications] K.Ozawa, A.Nemoto, H.Honda, E.Imai, K.Hatori, K.Matsuno: "Phosphorylation of Nucleotide Molecules in Hydrothermal Environments"Origins of Life and Evolution of the Biosphere. (in press).
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[Publications] A.Nemoto, M.Horie, H.Honda, E.Imai, K.Hatori, K.Matsuno: "Enantiomeric Excess of Amino Acids in Hydrothermal Environments"Origins of Life and Evolution of the Biosphere. (in press).