2003 Fiscal Year Annual Research Report
ペルオキシソーム膜タンパク質複合体によるタンパク質の認識と輸送の分子機作
Project/Area Number |
14340256
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
林 誠 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (50212155)
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Keywords | ペルオキシソーム / タンパク質輸送 / 脂質分解 / 光呼吸 / β酸化 / グリオキシソーム / ペルオキシン |
Research Abstract |
ペルオキシソームタンパク質は、分子内部に存在するPTS1もしくはPTS2と呼ばれる輸送シグナルの働きによって、サイトゾルからペルオキシソーム内へ輸送される。前年度の研究では、PTS1やPTS2を識別する2つのレセプター(Pex5pとPex7p)をアラビドプシスから同定するとともに、Pex5pとPex7p、およびPex5pとペルオキシソーム膜タンパク質Pex14pが結合能を有することを生化学的解析によって明らかにした。本年度は、これらのペルオキシソーム輸送因子間の結合が果たす役割をin vivoで明らかにすることを目的とした。いくつかの方法を試みた結果、RNAi法を用いた遺伝子発現抑制が有効であると判断し、PEX5およびPEX7遺伝子発現抑制株を作成した。これらの株を解析した結果、Pex5pを欠失するとPTS1タンパク質とPTS2タンパク質の両方の輸送が阻害されることが明らかになった。この株のペルオキシソームは、脂肪酸β酸化能と光呼吸の両方の機能が失わていた。Pex5pのカルボキシ末端を欠損したPex5pΔ7を過剰発現した場合にも、同様の表現型が認められた。一方、Pex7pを欠失した場合にはPTS2タンパク質の輸送のみが阻害されていた。この株のペルオキシソームは正常な光呼吸能を有するが、脂肪酸β酸化能は失っていた。以上の結果から、Pex5pとPex7pがサイトゾルでレセプター-カーゴ複合体を形成していること、またPex5pとPex14pの結合がレセプター-カーゴ複合体をペルオキシソームへ引き寄せる原動力になっていることをin vivoで証明した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kamada, T., et al.: "Monitoring expression profiles of 281 peroxisomal genes revealed functional diversity of plant peroxisomes"Plant Cell Physiol.. 44. 1275-1289 (2003)
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[Publications] Fukao, Y., et al.: "Novel glyoxysomal protein kinase, GPK1, identified by proteomic analysis of glyoxysomes in etiolated cotyledons of Arabidopsis thaliana"Plant Cell Physiol.. 44. 1002-1012 (2003)
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[Publications] 二藤和昌ら: "植物ペルオキシソームの機能分化と生合成機構"実験医学 増刊 細胞内輸送研究の最前線. 21. 1917-1923 (2003)
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[Publications] Hayashi, M., et al.: "Entering a new era of research on plant peroxisomes"Cur.Opin.Plant Sci.. 6. 577-582 (2003)
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[Publications] 林 誠: "光合成事典(ペルオキシソーム関連各項目)"学会出版センター. 430 (2003)