2002 Fiscal Year Annual Research Report
In vivo模倣系でのタンパク質高次構造スイッチング機構解明
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14350433
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高木 昌宏 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (00183434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白木 賢太郎 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (90334797)
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Keywords | 熱成熟 / タンパク質 / 構造転移 / 超好熱菌 |
Research Abstract |
Thermococcus kodakaraensis KOD1株由来のグルタミン酸脱水素酵素(Tk-GDH)を組換え体として発現させると、天然とは異なった構造が蓄積し、加熱により天然類似構造を形成することが知られている。この熱による構造転移は熱成熟と呼ばれ、数種類の超好熱菌由来タンパク質で観察されている。しかし、熱成熟の過程はまだ明らかになっていない。そこで本研究では、熱成熟がどのような過程かを分光学的に解析することを目的とした。Tk-GDHを組換えタンパク質として大腸菌で発現させた。熱の影響を最小にするために、全て4℃で精製した。熱が構造に与える影響を円偏光二色性(CD)スペクトルで測定した結果、熱を加えるとαヘリックス含量が約3%減少することが分かった。熱処理中のCDスペクトルの経時変化を調べた結果、50℃付近から熱成熟が始まることが分かった。また一度熱成熟すると、冷却や再加熱でも非熱処理で精製したTk-GDHのスペクトルと重ならないことから、熱成熟は不可逆であることが分かった。熱成熟前後の二つの構造についてSDS-PAGEとゲル濾過クロマトグラフィーに供した結果、新しいピークは見られず、溶出位置も同じであった。つまり、見かけの大きさや共有結合性の変化は無いことが分かった。 熱成熟に伴う構造変化が熱変性によるものかを活性測定で調べた。その結果、熱処理温度が高いほど逆に活性が増加することが分かり、70℃の加熱で最大になった。つまり加熱によるCDの変化は熱変性ではなく、構造が天然型へと近づくためだと考えた。 以上のことから、熱成熟は不可逆な構造転移であった。また熱成熟は、モノマー構造の変化や多量体形成によるのではなく、サブユニット間の相互作用によるものだと予想された。そこで、Tk-GDHのサブユニット間に多く存在するイオンペアが熱成熟に関与していると予想した。異なったイオン強度溶媒中での構造変化をCDを用いて調べた。イオン強度が高いほど構造変化の速度定数が小さくなることから、熱成熟には新しいイオンペアの形成が関与していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kentaro Shiraki, Motonori Kudou, Shinsuke Fujiwara, Tadayuki Imanaka, Masahiro Takagi: "Biophysical effect of amino acids on the prevention of protein aggregation"J. Biochemistry (Tokyo). 132. 591-595 (2002)
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[Publications] Kentaro Shiraki, Motonori Kudou, Yaoshinobu Aso, Masahiro Takagi: "Dissolution of protein aggregation by small amine compounds, in press (2003)"Science and Technology of Advanced Materials (STAM). (In press). (2003)
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[Publications] 白木賢太郎, 高木昌宏: "遺伝子ドグマからタンパク質ドグマへ(タシパク質フォールディング研究の展開) 巻 (2002)"現代化学. 375. 14-20 (2002)