2003 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞オートファジーの調節機構解析とその栄養学への寄与
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14360072
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
門脇 基二 新潟大学, 農学部, 教授 (90126029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 史昭 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (10269243)
藤村 忍 新潟大学, 農学部, 助教授 (20282999)
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Keywords | オートファジー / 肝臓 / タンパク質分解 / アミノ酸 / LC3 / 米タンパク質 / シグナリング |
Research Abstract |
本補助金により、今年度得られた研究成果は以下の通りである。 [A]肝臓オートファジーの栄養生理的役割:食品タンパク質の質が、肝臓オートファジーを調節する可能性を再確認した。特に米タンパク質の促進作用が顕著であった。結果の再現性を確保するため、食事の摂取条件、摂取リズム、食事タンパク質レベル等について検討した。 [B]肝細胞オートファジー形成段階の調節機構: a)肝細胞上のアミノ酸'受容体'の探索:肝細胞膜画分にLeu8-MAPとphotoaffinity labellingできるタンパク質(分子量10万)が認められた。今年度はそのタンパク質のシークエンス解析のための十分量を蓄積させる作業を行った。 b)細胞内情報伝達因子の探索:アミノ酸作用を再現する細胞内低分子物質の同定の作業として、抽出物のacid phosphatase処理を行ったところ、そのアミノ酸擬似作用は消失したことから、リン酸基の存在が予想された。また、抽出物の有機溶媒抽出の際、アミノ酸が含まれるアルカリ性画分には活性がなく、全くアミノ酸のない酸・中性画分に活性が見られた。この酸・中性画分をLC-MSで解析したところ、分子量m/z=132に活性と同調する物質が認められた。 c)アミノ酸によるシグナリング機構:アミノ酸によるシグナリング機構:細胞内シグナルでの最下流ターゲットとしてオートファジー関連タンパク質LC3のI-型からII-型への変換反応に注目し、アミノ酸の効果を調べた。単離肝細胞でこの反応はアミノ酸混合、単独アミノ酸(Leu, Tyr, Trp, Gln)で共に速やかに抑制され(10分)、候補として強い可能性が示された。さらに、より上流でのタンパク質リン酸化ERK1/2の関与について調べたところ、培養肝ガンH4-ll-E細胞と単離肝細胞、灌流肝臓ではアミノ酸によるオートファジーの抑制作用は共通であるにも関わらず、そのシグナリングにERK1/2の関与が認められず、アミノ酸シグナリングに細胞特異性があることが見いだされた。 [C]肝細胞オートファジー成熟段階の調節機構: 本項目は諸事情のため、進展が見られなかった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Kadowaki, T.KANAZAYA: "Amino acids as regulators of proteolysis"Journal of Nutrition. 133. 2052S-2056S (2003)
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[Publications] M SHIBATA et al.: "Nucleotide sequence of myostatin gene and its developmental expression in skeletal muscles of Japanese Black cattle"Animal Science Journal. 74. 383-390 (2003)
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[Publications] T.KANAZAWA et al.: "Amino acids and insulin control autophagic proteolysis through different signaling pathways in relation to mTOR in isolated rat hepatocytes"Journal of Biological Chemistry. 279(in press). (2004)
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[Publications] 金澤 匠, 門脇 基二: "アミノ酸によるオートファジーの調節-蛋白質分解系を中心に-"栄養評価と治療. 20. 483-386 (2003)
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[Publications] 門脇 基二, 金澤 匠: "肝オートファジーのシグナリング機構"生体の科学. 54. 528-533 (2003)