2003 Fiscal Year Annual Research Report
食事ポリフェノールの細胞内バイオアベイラビリティの解明
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14360076
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
金沢 和樹 神戸大学, 農学部, 教授 (90031228)
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Keywords | ポリフェノール / フラボノール / 抗酸化 / CYP1A1 / アリール炭化水素受容体 / グルクロニド抱合 / ケンフェロール / ケルセチン |
Research Abstract |
本研究課題の昨年度の研究で、食事ポリフェノールの中のフラボノールという成分は小腸細胞に吸収された後にその一部が新規物質である3位アミノ体に代謝変換されることを明らかにした。この物質はアミノ基を有するので抱合を受けにくく、細胞膜との親和性が高いので肝細胞などに取り込まれやすいと予測した。つまりバイオアベイラビリティが高いので顕著な生理活性を示すと考え、本年度はこれらの点を研究した。グルクロニド・硫酸抱合速度をケンフェロール(KF)というフラボノールとそのアミノ体(アミノKF)とで比較すると、アミノKFの抱合速度はKFよりも3倍遅かった。抗酸化能は肝細胞のHep G2を用いて比較した。KFあるいはアミノKFと15分間培養後、細胞を洗浄して活性酸素に晒し、その遺伝子の酸化的損傷を8-ヒドロキシグアノシン(8-OHdG)の生成量で測定した。KFが8-OHdG生成を50%抑制するIC50値は3.1μMで、アミノKFは4.6μMであった。ケルセチン(QT)とそのアミノ体(アミノQT)で比較すると、QTは3.8μMで、アミノQTは4.3μMであった。また、発癌に関係しているCYP1A1酵素の活性抑制効果と、ダイオキシンの受容体でもあるアリール炭化水素受容体(AhR)に対するアンタゴニスト効果を比較した。KFのCYP酵素阻害のIC50値は0.11μMで、AhRに対しては2.1μMであり、アミノKFはそれぞれ0.15μMとは7.9μMであった。QTのCYP阻害のIC50値は0.35μMで、AhRに対しては1.5μMであり、アミノQTはそれぞれ0.46μMとは7.3μMであった。フラボノールなどのポリフェノールは抱合を受けるとその生理活性をほとんど失うが、アミノ体は抱合を受けにくい。そして、アミノ体は元のフラボノールとほぼ同等の生理活性を持っているので、体内でその生理活性を発揮しやすいと結論した。アミノ体は体内吸収後に合成される生体内成分なので安全性に問題はなく、将来、予防薬や治療薬としての応用が期待できると考えた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] I.Fukuda, et al.: "Green tea extracts prevent the dioxin toxicity through the suppression of transformation of the aryl hydrocarbon receptor"ACS Symposium Series. 851. 119-127 (2003)
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[Publications] T.Hashimoto et al.: "Preventive effects of food components on caspase-8-mediated apoptosis induced by dietary carcinogen, Trp-P1, in rat mononuclear cells"ACS Symposium Series. 851. 128-140 (2003)
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[Publications] B.Shiotani, et al.: "A tryptophan pyrolysis products, Trp-P1, but not its metabolite induces apoptosis in primary cultured rat hepatocytes"ACS Symposium Series. 851. 141-150 (2003)
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[Publications] T.Furuyashiki, et al.: "Tea extracts modulate a glucose transport system in 3T3-L1 adipocytes"ACS Symposium Series. 851. 224-234 (2003)
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[Publications] H.Chiba, et al.: "Hesperidin, a citrus flavonoid, inhibits bone loss and decreases serum and hepatic lipids in ovariectomized mice"Journal of Nutrition. 133. 1892-1897 (2003)
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[Publications] H.Sakakibara, et al.: "Simultaneous determination of all polyphenols in vegetables, fruits and teas"Journal of Agricultural and Food Chemistry. Vol.52,No.3. 571-581 (2003)