2004 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素腫瘍を標的とする内部照射治療薬剤に関する研究
Project/Area Number |
14370274
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
藤林 康久 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50165411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 春海 福井大学, 医学部, 教授 (40026943)
川井 惠一 金沢大学, 医学部(高エネルギー医学研究センター), 教授(客員教授(併任)) (30204663)
古川 高子 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 助教授 (00221557)
今野 卓 福井大学, 医学部, 助教授 (50225637)
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Keywords | Cu-64 / β線 / 超小型サイクロトロン / がん / 内部照射治療 / 低酸素 |
Research Abstract |
低酸素がんへの選択的親和性を示すCu-ATSMの特性を利用して、殺細胞能を持つ放射性Cu-64を細胞内に送達し、がん細胞内部からの選択的放射線照射治療を試みた。本年度は、Cu-ATSMのがん組織内集積の特性を糖代謝イメージング薬剤であるF-18-2-fluoro-2-deoxy-D-glucose(FDG)と比較検討するとともに、免疫組織学的検討を加えることにより、細胞生物学的に評価した。皮下に10mm径のがんを持つマウスにCu-64-ATSMおよびFDGを同時投与した。1時間後に腫瘍を摘出し2分割した後、一方をオートラジオグラフィに、他方を固定,免疫組織染色に用いた。Cu-ATSMとFDGとは非常に異なる集積パターンを示した。Cu-ATSM高集積部位でははCD34で染色される血管内皮細胞がほとんどみられず、血流が非常に乏しいことが示唆された。またKi67で染色される増殖細胞はほとんどなかった。一方、FDG高集積部位は血管が充実しており、血液供給がかなり豊富であると考えられた。また非常に増殖細胞が多く見られた。FDG高集積部位は、壊死層の周辺に顕著にみられた。興味あることに、Tunel法で染色されるapoptosis細胞はFDG高集積部位にはまったく見出されず、Cu-ATSM集積部位にごく少数(0.2%以下)見出されるに留まった。これらのことは、Cu-ATSM高集積部位が、一旦増殖したものの血管新生がまだ始まっておらず、その中で生存維持するために増殖を含む細胞活動を停止させるという非常に巧妙な戦略を持った細胞集団からなることを示していると考えられる。このような部位は、当然放射線照射や抗がん剤治療に対して抵抗性を有すると考えられ、それらを選択的治療できるCu-64-ATSMに大きな期待が持たれる。
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Research Products
(1 results)