2003 Fiscal Year Annual Research Report
腎機能低下に伴う薬物トランスポータ群の遺伝子発現変動と薬剤性腎障害との相関解析
Project/Area Number |
14370781
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
齋藤 秀之 熊本大学, 医学部附属病院, 教授 (40225727)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深津 敦司 京都大学, 医学研究科, 講師 (90247685)
増田 智先 京都大学, 医学研究科, 助手 (90303825)
濱田 哲暢 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (00322313)
|
Keywords | 薬物トランスポータ / 腎排泄 / 尿細管分泌 / アニオン性薬物 / カチオン性薬物 / 遺伝子発現 / 腎不全 / 薬剤性腎障害 |
Research Abstract |
ヒト腎に発現する薬物排泄タンパク質群(薬物トランスポータ)の薬物輸送特性並びに腎内発現分布について比較精査するとともに、腎疾患、腎腫瘍等を発症した患者腎における薬物トランスポータ遺伝子の発現変動と薬剤排泄能力との相関について解析した。ヒト有機アニオントランスポータhOAT1の遺伝子を腎cDNAライブラリーより単離し、卵母細胞発現系を用いて薬物輸送機能を解析した。hOAT1はP-アミノ馬尿酸、メトトレキサート(葉酸代謝拮抗薬)、ジドブジン(抗ウイルス薬)、フロセミド(利尿薬)等、多様なアニオン性薬物の腎移行を仲介するトランスポータであることを実証した。ヒト有機カチオントランスポータhOCT2及びそのスプライシングバリアントであるhOCT2-Aの遺伝子を単離し機能解析を行った結果、いずれのトランスポータも主として腎に発現し、種々のカチオン性薬物を輸送することが判明した。 ヒト腎に発現する薬物トランスポータ遺伝子の発現量をリアルタイムPCR法によって測定し、患者個人毎の腎組織に発現するトランスポータ遺伝子の発現量を定量数値化することに成功した。腎生検を施行した腎機能低下患者における抗生剤セファゾリンの血中濃度を測定し、体内動態パラメータを算出した。腎機能低下患者におけるセファゾリンの消失クリアランスと薬物トランスポータ発現量との相関について調べた結果、hOAT3 mRNAの発現量とセファゾリンクリアランスが有意な正相関を示すことが判明した。さらに、in vitro機能解析においてhOAT3がセファゾリン輸送を媒介することを実証し、腎疾患患者ではhOAT3発現量がセファゾリン腎排泄を規定する因子であることをはじめて明らかにした。 腎尿細管薬物トランスポータ群の機能特性並びに腎疾患時におけるトランスポータ遺伝子の発現変動解析は、薬剤性腎障害におけるトランスポータの動態学的役割の解明並びに至適薬剤投与設計法の基盤確立に有用な情報を提供し得る。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Sakurai, Y., et al.: "Expression levels of renal organic anion transporters (OATS) and their correlation with anionic drug excretion in patients with renal diseases."Pharm.Res.. 21・1. 61-67 (2004)
-
[Publications] Uwai, Y., et al.: "Common single nucleotide polymorphisms of the MDR1 gene have no influence on its mRNA expression level of normal kidney cortex and renal cell carcinoma in Japanese nephrectomized patients"J.Hum.Genet.. 49・1. 40-45 (2004)
-
[Publications] Igarashi, T., et al.: "Decreased cyclosporin A concentrations in the absorption phase using microemulsion preconcentrate formulation in rats with cisplatin-induced acute renal failure."Biol.Pharm.Bull.. 26・11. 1591-1595 (2003)
-
[Publications] Habu, Y., et al.: "Decreased activity of basolateral organic ion transports in hyperuricemic rat kidney : roles of organic ion transporters, rOAT1, rOAT3 and rOCT2."Biochem.Pharmacol.. 66・1. 163-170 (2003)
-
[Publications] Hamada, A., et al.: "Interaction of imatinib mesilate with human P-glycoprotein."J.Pharmacol.Exp.Ther.. 307・2. 824-828 (2003)
-
[Publications] Ohnishi, S., et al.: "Distinct transport activity of tetraethylammonium from L-carnitine in rat renal brush-border membranes."Biochim.Biophys.Acta. 1609・2. 218-224 (2003)
-
[Publications] 小川久雄, 等: "慢性心不全のマネジメント-新たな展開-"医薬ジャーナル社. 143 (2004)