2002 Fiscal Year Annual Research Report
古典主題と北方美術-「ピュラモスとティスベ」図像の総合的研究
Project/Area Number |
14510079
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Research Institution | Kanazawa College of Art |
Principal Investigator |
保井 亜弓 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 助教授 (30275086)
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Keywords | オウィディウス / 変身物語 / ピュラモス / ティスベ / 北方美術 |
Research Abstract |
平成14年度は、「ピュラモスとティスベ」の図像および関連文献の収集、データベース構築のための機器整備、オウィディウス『変身物語』の挿し絵入り刊本の海外実地調査を主に行った。 海外調査は、11月24日から12月2日までパリの国立図書館および版画素描室において行った。同図書館では、挿し絵入り刊本としては、1484年の最初のブリュージュ本に次いで2番目のものとなる、1493年にパリでアントワーヌ・ヴェラールにより出版された『La Bible des Poetes』の豪華な手彩色本を、すでに調査を行った大英図書館所蔵の同本の資料と比較し検討することが目的であった。同本は、後に版型を変えて2度出版されるが、彩色が加えられているのは1493年の初版本だけである。パリ国立図書館所蔵本については、1点のみが知られていたが、今回の調査により2点存在することが確認された。彩色は同一のタイプではなく、大英図書館本とも異なることから、別の彩飾画家によるものと考えられる。装飾の方法などさらに詳細な検討が必要であり、そのためにマイクロフィルムを購入した。 彩色された版画については、これをテーマとした初めての展覧会「Painted Prints. The Revelation of Color」が2002年10月にボルティモア美術館(セント・ルイス美術館巡回)で開催されたことが注目される。同展の企画については数年前から情報を得ていたが、カタログが充実しており、本研究にも大いに参考となる資料である。 データベースについては、ファイルメーカーを用いることにし、最適なフォーマットを形成すべく、各種のデータベースを検討した。
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