2003 Fiscal Year Annual Research Report
古典主題と北方美術-「ピュラモスとティスベ」図像の総合的研究
Project/Area Number |
14510079
|
Research Institution | Kanazawa College of Art |
Principal Investigator |
保井 亜弓 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 助教授 (30275086)
|
Keywords | オウィディウス / 変身物語 / ピュラモス / ティスベ / 北方美術 |
Research Abstract |
本年度は本研究の最終年度であり、資料収集とその分析を行いつつ、研究成果をまとめることを目的として作業を進めた。 資料収集については、昨年度に引き続き、「ピュラモスとティスベ」図像関連の文献および写真等を収集した。また、昨年度の海外調査の際に入手した1493年パリ版『変身物語』(パリ国立図書館蔵)のマイクロフィルムは、書物のかたちに復元して分析を行った。初期印刷本はしばしば彩色されたとはいえ、このように豪華な彩飾が施される実態についてはまだ十分に明らかにされておらず、さらに他の作例の調査検討が必要であると思われる。 本年度の中心的な課題は「ピュラモスとティスベ」図像のデータベースの構築であった。データベースを構築するにあたっては、「ピュラモスとティスベ」図像の総合的研究ためのイメージマップおよび図像研究の基礎として有効となるように、その形式・内容を検討した。ヘルマン・ヴァルター教授の協力により入手することができたマンハイム大学の『変身物語』刊本の目録は18世紀までの刊本をほぼ網羅しており、非常に貴重な資料としてデータベースに反映させた。ただし、同一本が複数回にわたり出版される印刷本のデータベースの形式は多様なメディアを含む本データベースには適さない。データの取り方について、また画像とデータの連動については他のデータベースも参考にして検討を重ねた。形式を検討するには予備的なデータベースの試作が必要となり、データ入力等の資料整理補助のアルバイトは当初の予定よりも多くなった。本研究のデータベースの構築から、「ピュラモスとティスベ」図像が北方美術に特徴にあらわれているという事実が改めて確認された。
|