2003 Fiscal Year Annual Research Report
インドの初等教員養成改革の構造的特質:県教育研究所(DIET)の設立と展開
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14510323
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Research Institution | Tokai University Fukuoka Junior College |
Principal Investigator |
赤井 ひさ子 東海大学福岡短期大学, 国際文化学科, 助教授 (40249644)
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Keywords | インド / 初等教育養成 / 初等教育普遍化 / 県教育研究所(DIET) |
Research Abstract |
二年度目の計画に沿って、インドの国家教育政策(1986年)によって1987年から全国的に設立されている県教育研究所(DIET)について、その設立の必然性や構造的特質を検討すべく研究を展開した。国内の研究機関(世界銀行図書館、早稲田大学図書館等)からは、アジア全体の教育を視野に入れた研究成果を入手するとともに、独立前の教育政策に閲する資料を収集した。これらの資料を検討し、初年度に提起した、インドの教員養成の改革には独立前から存在した複雑な諸問題の解決が不可欠である」点をさらに検討することによって、DIET設立に至る経緯を明らかにすることを試みた。二年度目の計画のひとつにあげていたDIETの組織・運営の実態についての把握と、地域の初等教育にかかわる諸条件の検討を行うべく、二年度に申請した計画に基づいて8月に訪印し、国立教育行政計画研究所(在デリー)から初等教員養成に関する最新の資料を入手し、検討した。また、同研究所の研究者との討論を通じて得た学校教育を取り巻く諸問題についての情報は、初等教員養成の改革の検討に大変有益であった。さらに今年度の訪印では、初年度の研究から手がかりを得たマハラシュトラ州の教員養成と同州のDIETの実態を検討するために、同州の教育研究所(在プネ)を訪問することが出来た。ここでは現在、同州の初等教員養成に関する計画を立案中であることが明かになった。また、同州の県教育研究所で初等教員養成に携わる人々との面談がかなった点も、本計画に資するところが大きい。 これらの研究資料の分析・検討と、内外の関係者との面談から得た情報をもとにした研究成果としては、「インドの教育政策:英国統治下の初等教育と初等教員養成」(東海大学福岡短期大学紀要第5号、ppl-16、2003年)をあげ得る。これは、英国統治政府の教育関係の資料を検討することによって、初等教員養成に関する現在の諸問題の多くが英国統治下にすでに存在していた点を明らかにしたもので、独立後のインドの初等教員養成の困難さと複雑さを理解する鍵となる事柄を解明したものである。また、講演としては、インドの現職の初等教員の活躍や勤務上の諸問題を題材とした「インドの未来と若い先生達の情熱:学校から生まれる変化」(福岡県宗像市観光講座、2003年6月26日)をあげ得る。これは、初等教員の意見や提案を検討した研究をもとにした講演である。
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Research Products
(1 results)