2004 Fiscal Year Annual Research Report
インドの初等教員養成改革の構造的特質:県教育研究所(DIET)の設立と展開
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14510323
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Research Institution | Tokai University Fukuoka Junior College |
Principal Investigator |
赤井 ひさ子 東海大学福岡短期大学, 国際文化学科, 助教授 (40249644)
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Keywords | インド / 初等教員養成 / 県教育研究所(DIET) / 初等教育普遍化 |
Research Abstract |
最終年度(三年度)の計画に沿って、インドの「教育に関する国家決議(1986)」によって1987年度から全国的に設立が進んでいる「県教育研究所(DIET)」とこの研究所で行われている初等教員養成について、その構造的特質を考察する研究を展開した。国内の教育機関(国連大学図書館、早稲田大学図書館等)からは、インドの教育行政とアジア地域全体の教育の発展に関する研究成果を入手するとともに、現代インドの研究動向に関する資料を収集した。これらの資料を検討し、第二年度目までに収集した資料と合わせてDIET設立に至る経緯を、連邦政府の動向と州政府の姿勢とにわけて明らかにすることを試みた。最終年度に申請した計画に基づいて8月に訪印し、国立教育行政計画研究所(在デリー)からは初等教員養成についての最新の資料を入手し、分析した。また、同研究所の研究者との討論を通じて、DIETの責任者と教員に対して同研究所が実施している連邦政府のDIETに対する指導についての情報を得ることが出来た。さらに最終年度の訪印では、第二年度に手がかりを得たマハラシュトラ州の初等教員養成について、同州オスマナバードのDETを訪問する機会を得た。マハラシュトラ州はこれまでに検討したデリー州やハリアナ州とは、面積・人口・言語などで異なった様相を持っており、DIETの展開についても、教育実習に独自の工夫をしている様子を実際に観察することが出来たので、同州の初等教員養成についての実状を知るうえで大変有意義な訪問であった。また、同地域の初等学校を訪問することが出来た。地域社会と初等学校の連携による初等教育振興策、近年導入された給食実施と英語教育の様子など、同州の新たな政策実施の様子などを知ることが出来たので、最終報告書の作成と今後の研究の展開を考えるために大いに参考になった。 これらの研究資料の分析・検討と、内外の関係者との面談・討議から得た情報をもとにした研究成果としては、"Elementary Education in India under the British raj : Destruction or Introduction,":東海大学福岡短期大学紀要6号,2004,pp.1-24.をあげ得る。これは、19世紀半ばからの英国植民地政府の近代学校制度導入がインド伝統教育を衰退させた点と、近代学校制度での初等教員養成について植民地政府がどのような政策を実施したかについて考察したものである。また、講演としては、インドの教育普及策の特徴である非正規教育と初等教員を扱った、「インドの小学校教員:非正規教育の体験」(福岡県宗像市観光講座、2005年1月19日)をあげ得る。
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Research Products
(1 results)