2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510371
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
鵜飼 尚代 名古屋外国語大学, 外国語学部, 教授 (10333262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田尻 紀子 愛知女子短期大学, 言語コミュニケーション学科, 助教授 (30211361)
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Keywords | 朝林 / 徳川実紀 / 柳営日次記 / 御城附 / 御城書 / 災害情報 / 献上儀礼 |
Research Abstract |
平成15年度は、毎月1回のペースで研究会を開催(計13回)し、1月〜2月の間に史料の調査蒐集を行って、期末に史料を複写整理した。研究会では『朝林』の輪読と注釈付けの準備、検討を中心に行っているが、個々の研究会メンバーもそれぞれのテーマで研究を進め、成果を出しつつある。 (1)『朝林』の釈文 研究会では毎回20丁〜40丁の釈文を行い、『朝林』前編巻19〜巻24まで523丁を読み進めた。 (2)注釈の状況 巻1から順に役職・官位、その他重要事項の解説をするとともに、『徳川実紀』『柳営日次記』を参照して文字の異同をチェックする作業を進めており、未整理ながら巻3まで原稿が集まっている。 (3)研究の状況 (1)献上行為の分析 『朝林』には『徳川実紀』に記載しない諸藩の献上に関する記事を多々収録する。『朝林』前編の献上に関する記事を分析したところ、寛文・延宝期の献上行為には、幕府側の意向が優先されていること、衣類・布類と貨幣類が、献上物としてよく使われたこと、将軍交代時には食品等がよく使われていることなどがわかった。(福田花子『朝林』にみる寛文・延宝期の献上儀礼-家綱から綱吉への将軍交代期を中心として-」)江戸初期の諸藩の献上行為を知る上で、有意義な研究になろう。 (2)災害関係記事の分析 『朝林』には被災状況を詳細に伝える災害記事が多く記載されている。災害の種類ごとに情報の伝達経路を盛り込んだ年表を作成し、『朝林』の災害記事の情報源を分析したところ、単に御城書を書き写したのでなく、直接尾張藩にもたらされたもの、御城附が幕府機関から得てきたと思われるもの、他藩からもたらされたもの等、さまざまな入手経路を経ていることがわかった。(鵜飼尚代「『朝林』における災害記事〔I〕-『朝林』前編を中心として-」「『朝林』における災害記事〔II〕-水関連災害を中心にして-」 (3)『朝林』の特色について 災害記事について『徳川実紀』『柳営日次記』と比較してみたところ、『朝林』には両者に記載しない記事を多く登載していること、災害情報などは『朝林』の方が詳細であることがわかった。
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Research Products
(2 results)