2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510371
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
鵜飼 尚代 名古屋外国語大学, 外国語学部, 教授 (10333262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田尻 紀子 名古屋学芸大学短期大学部, 言語コミュニケーション学科, 助教授 (30211361)
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Keywords | 朝林 / 徳川実紀 / 柳営日次記 / 御城附 / 御城書 / 災害情報 / 越後騒動 / 旧事大成経 |
Research Abstract |
平成16年度も毎月1回のペースで研究会を開催(計13回)し、釈文を進めると同時に注釈付けの作業を本格的に進めた。注釈付けを進めるにあたって、新たに作業部会(『朝林』読点会)を立ち上げ、「朝林』本文に読点を入れながら、今までの釈文の再検討を行っている。また個々の研究会メンバーの研究でも徐々に成果が出てきている。 (1)『朝林』の釈文 研究会では毎回20丁〜40丁の釈文を行い、『朝林』前編巻25〜巻28までを読み進めた。 (2)注釈の状況 注釈の方針を『朝林』の特色を示すことに定め、登載記事が『柳営日次記』『徳川実紀』にあるかないかをチェックし、現在巻6まで進んでいる。また、読点を入れる作業は巻6まで進んでいる。 (3)研究の状況 (1)災害関係記事の分析 『朝林』後編の被災記事の中に、朝日文左衛門重章の『鸚鵡籠中記』の記事と重なるものがある。後編の執筆者堀貞儀と朝日文左衛門との交友関係から、幕府に集まった情報が、藩に流れ藩士に流れていく一つのプロセスを明らかにした。 (2)越後騒動の記事をめぐって 越後騒動は、四代将軍徳川家綱、五代将軍綱吉の治世をまたいで起きた高田藩のお家騒動だが、『朝林』ではその経緯をかなり詳細に記録している。それらの記事から、将軍職に就任して間もない綱吉は、結局高田藩を取り潰したばかりか、先代家綱の幕閣の責任も追及したこと、四代家綱から五代綱吉に将軍がかわり、政治カラーも変わったことがわかった。(黒川秀雄「『朝林』にみる越後騒動」) (3)『旧事大成経』をめぐって 『朝林』天和元年10月3日に『旧事大成経』に関する記事がある。『旧事大成経』の成立から大成経事件の顛末、意義等先行研究に基づいて整理すると、『旧事大成経』が成立した徳川綱吉政権の初期が、時代の転換期であったことがわかる。(関善道「天下太平と新宗教の間」)
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Research Products
(2 results)