2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510640
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山科 高康 千葉大学, 法経学部, 教授 (00017956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内村 博信 千葉大学, 法経学部, 助教授 (30193907)
石田 靖夫 千葉大学, 法経学部, 助教授 (10241928)
安孫子 誠男 千葉大学, 法経学部, 教授 (20115520)
三宅 芳夫 千葉大学, 法経学部, 助教授 (40334164)
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Keywords | 国民国家 / 人権政治 / ヨーロッパ連合(EU) / 共和制 / 帝国 / ポスト・コロニアル / ジャコバン主義 / 戦後民主主義 |
Research Abstract |
本年度の研究計画は、ドイツとフランスにおける国民概念の形成を歴史的に分析するために、まずフィヒテの『ドイツ国民に告ぐ』(1808年)、ルナンの『国民とは何か』(1882年)からその問題点を摘出し、国民国家が創設された当時の歴史的・社会的条件を検討することによって、国民国家の機能とその限界を歴史的・社会的に明らかにすることから出発することを予定していたが、そのための準備が整わなかったことから、これらの問題は次年度の課題とし、14年度はまず、統合へと向かう現代ヨーロッパの問題点を検討すること(当初15年度に予定)からはじめることにした。 第1回研究会(14年6月5日)では、14年度の研究会の実施計画について検討した。第2回研究会(14年6月12日、担当:三宅)では、フランスを例に西欧のジャコバン主義的「国民国家」の理念についての報告があり、日本の戦後、とりわけ終戦から朝鮮戦争にいたるまで、戦後民主主義の胎動期にあたる10年間の知識人の言説形成のあり方との比較・検討がなされた。第3回、第4回研究会(14年12月3日、10日)では、ヨーロッパ統合とマイノリティー民族の問題について、立教大学宮島喬教授を講師に迎え、意見交換および議論がなされた。第5回研究会(14年12月18日、担当:内村)では、東欧の民主化と同時に勃発する民族紛争とそこで繰り広げられる残虐行為との関係において、1990年代ドイツにおいて展開された「人権」政治の問題点についての報告があり、政治的な民主化のプロセスのなかで形成されるべき、「国民国家」を超えたヨーロッパ「市民」のあり方について議論・検討された。第6回研究会(15年2月27日、担当:石田)では、ヨーロッパへの大量の移民、難民の流入というポスト・コロニアル的状況において、彼らの権利を確保しつつ、いかに共生のための秩序を形成すればよいか、といった観点から報告があり、議論・検討がなされた。 これらの成果をふまえて、15年度は、国民国家が創設された当時に遡って、その歴史的・社会的条件を検討し、国民国家の機能とその限界を明らかにすることを計画している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 安孫子誠男: "M.アグリエッタの<資産形成成長レジーム>論について"千葉大学経済研究. 17巻・3号. 39-83 (2002)
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[Publications] 内村博信: "ハーバーマスのディスクルス倫理学と九〇年代ドイツの人権政治(1)"千葉大学法学論集. 17巻・4号. 1-82 (2003)
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[Publications] 内村博信: "ヴァルター・ベンヤミンの言語理論と歴史哲学"千葉大学社会文化研究科. 第7号. 1-18 (2003)