2003 Fiscal Year Annual Research Report
環境経済学における環境評価法の発展と適用に関する学説史的評価とデータベース化
Project/Area Number |
14530015
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
姫野 順一 長崎大学, 環境科学部, 教授 (00117227)
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Keywords | 環境評価 / 複合的環境評価 / CVM / 選択モデル / 消費者選択 / 市民選択 / カテゴリー・ミス |
Research Abstract |
本研究プロジェクトにおける研究実績の概要は以下の通りである。 1、姫野は本プロジェクトの研究期間中3度にわたりイギリスを訪問し、ケンブリッジ大学を拠点としながら、環境便益評価研究における代表的研究者(C.Spash:ヨーロッパ生態的経済学会長;マコーレイ研究所、R.T.Turner:地球環境社会経済研究所<CSERGE>所長:イースト・アングリア大学)等にヒヤリングを行うとともに、環境評価に関する情報・研究文献・資料を収集した。 2、イギリスにおける「経済思想史学会」および「経済学の方法に関する国際ネットワーク」(INEM)のコンファレンスに参加し、環境経済学の枠組みに関する情報を坂集した。 3、環境評価法のうちCVM(支払意思額・受取意思額)を用いて諫早干潟の便益評価の調査を実施し、また選択モデル(コンジョイント法)を用いて環境保全の代替政策を評価する調査を行い、環境評価法の政策的フィージビリティについて検討を加えた。 4、収集した文献(特にCVMと選択モデルに関する)に基づいて環境の便益評価の方法を再検討し、各技法の特質・適応事例・効果および欠点の学説的な整理を試みた。 5、進化経済学、クリティカル・リアリズムおよびA.Senの環境経済学へのアプローチを参照枠としながら、CVMの分析方法における「消費者選択の視点」と「市民選択の視点」の混同、理論の一般化における「カテゴリー・ミス」を明らかにし、CVMの実践が環境政策に有効に貢献できるための「複合的な環境評価法」の可能性について萌芽的な成果を得た。 6、収集した環境評価法(特にCVMと選択モデル)に関する文献書誌を作成し、系統別に整理されたデータベースを作成した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 姫野 順一: "諫早干拓事業の社会的コンテキストと環境評価法の意義"長崎大学環境科学部 諫早湾・有明海問題研究会. 11 (2003)
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[Publications] 姫野 順一: "公共事業における環境評価"西日本新聞社. 10 (2004)
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[Publications] 姫野 順一: "環境便益評価法における「カテゴリー・ミス」とCVMの展開可能性"九州大学出版会. 21 (2004)