2003 Fiscal Year Annual Research Report
ワークシェアリングの雇用効果と労使関係-オランダとフランスの比較
Project/Area Number |
14530063
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
松村 文人 名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (60199859)
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Keywords | ワークシェアリング / 雇用 / 労使関係 / オランダ / フランス / 労働時間 / 銀行 / パートタイマー |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヨーロッパ諸国において、労働時間の短縮によって失業を減らそうとする「ワークシェアリング」が、どのような労使関係プロセスを通じて実施され、どれほどの雇用効果を上げているのかを、現地での実態調査を通じて明らかにすることである。研究対象国は、1980年代より女性の「パートタイマー化」を進めてきたオランダと、1998年及び2000年に「週35時間労働法」を制定してフルタイマー雇用を創出しようとしてきたフランスである。 本研究は3年計画である。初年度の平成14(2002)年度には、両国の政府や大学を訪ねて、ワークシェアリングの現状、研究調査の状況、調査対象企業の候補選定などについて討論を行った。その結果、フランスについては既存調査を参照し、現地調査は主にオランダについて行なうこととした。2003年3月より、パート化に熱心な銀行を主な対象として聞き取りを開始した。対象は、ABN-AMRO銀行(2003年3月)、ING銀行(2003年9月)、ユニリーバ社(2003年9月)、アムステルダム市(2003年9月)であり、人事担当者からパートタイマー化の実態や労使関係に関する聞き取り、協約他の資料収集を行なった。2002年度調査に関する中間報告は、2003年4月、学内の研究会で行なった。 平成15(2003)年度は、企業側に続いて、労使関係のもう一方の当事者である労働組合及び経営評議会(労使協議システム)に対して、2004年3月ヒアリングを実施した。対象は、ABN-AMRO銀行経営評議会、ING銀行経営評議会、銀行労働組合、公務員労働組合、食品労働組合であった。これにより、製造(食品)、サービス(銀行)、公務員(市役所)などパート化が進む部門での、労使関係及びワークシェアリングの実態を明らかにすることができた。 現在、調査結果のまとめを行なっており、その成果を早急に報告する予定である。
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