2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540145
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Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
松久 隆 茨城工業高等専門学校, 自然科学科, 講師 (40219473)
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Keywords | 認識論理 / 情報構造 / 不確実性の経済 / 合理的期待均衡 |
Research Abstract |
認識論理に附随した交換経済の研究:<目的>:この研究では「多重様相をもつ計算論理」の観点から「不確実性の経済」を考察する。特に消費者が情報構造として意識様相論理を持つ純粋交換経済モデルをその対象とする。その目的は「消費者は自分の信念と価格情報にもとづいて行動する」という立場から次の2点を示すことにある。 1.消費者の信念構造の数学モデルを組み込んだ経済モデルを提示する。 2.合理的期待均衡の概念とコアの概念をこのモデルに拡張し、経済学で有名なコア同値定理が成立つことを示す。 <結果>:従来の不確実性の純粋交換経済学モデルでは分割構造で個人(消費者)の私的情報をモデル化されている。この研究ではこの情報は各個人の知識や信念から形成されると考える。計算論理学の分野で導入された「信念構造モデル」を援用し、これにより誘導される非分割構造により個人の私的情報が表現される不確実性純粋交換経済モデル:「知識の論理に附随した交換経済」を新しく提示する。この経済における各個人は自分の持つ私的情報と市場メカニズムにより与えられる価格の情報の双方に基づいて自らの期待形成を行い、これを最大化する財の取引きを行うと考える。この市場において需要が均衡する状態として従来の合理的期待均衡を拡張し、各個人情報のもとでの「事後期コア」の概念を提示する。ここで、重要な点は個人の持つ情報と認識能力(信念)との関係を明示していることにある。この研究では信念論理体系KT4に附随した交換経済において次ぎの3つの定理が成り立つことを個人の利得関数にある種の可測性条件を仮定の下で示した。 定理1(Existence theorem):拡張された合理的期待均衡は常に存存する。 定理2(Core equivalence theorem):非可算無限人消費者からなる経済の場合、拡張された合理的期待均衡の配分と中間期コア配分は一致する。 定理3(No trade theorem):個人の初期保有量が事前的にパレート最適性配分ならば、彼らの間での思惑売り買いの取り引きは決して行われない。 <独創性>:次の2点にある。 ●個人の不確実性を多重様相計算論理の意味論モデルとして表現するという新しい観点から、ミクロ経済学の基礎研究を行っていること。 ●この経済モデルに新しい均衡概念「期待均衡」を導入し、その存在を保証する条件を明示したこと。 <貢献>:この研究では計算論理学に対して経済モデルの分析という新しい研究対象を提供し、一方で経済理論に関しては計算論理で開発された新しい分析手法を与えることが出来ること。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Takashi Matsuhisa: "No speculation under rational expectations equilibrium in economy : A multi-modal logic approach"Logic Game Theory and Social Choice III. 58-64 (2003)
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[Publications] Takashi Matsuhisa: "Core equivalence in economy for modal logic"Computational Science-ICCS2003, Springer Lecture Notes of Computer Sciences. 2568. 74-83 (2003)
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[Publications] Takashi Matsuhisa: "Core equivalence in economy under generalized information"京都大学数理解析研究所講究録. 1377. 210-223 (2003)
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[Publications] Ryuichiro Ishikawa: "Consensus on p-belief communication"Proceedings of the Second International Conference of Non-Linear Analysis and Convex Analysis (NACA2001). 131-136 (2003)
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[Publications] Emiko Fukuda: "Communication reaching consensus"Proceedings of the Second International Conference of Non-Linear Analysis and Convex Analysis (NACA2001). 49-64 (2003)
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[Publications] Takashi Matsuhisa: "Communication leading to Nash equilibrium without acyclic condition"Abstracts of the Third International Conference of Nonlinear Analysis, and Convex Analysis 2003,Tokyo (Japan). 104 (2003)
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[Publications] Takashi Matsuhisa: "Core equivalence in economy uner, generalized information"Abstracts of the Third International Conference of Nonlinear Analysis and Convex Analysis 2003,Tokyo (Japan). 105 (2003)
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[Publications] Takashi Matsuhisa: "Rational expectations equilibrium in economy for modal logic"Abstracts of Stony Brook Conference of Game Theory, SUNY (USA) 2003.. 209 (2003)