2003 Fiscal Year Annual Research Report
中性二座配位子を用いた協同効果抽出における希土類元素間の分離の向上について
Project/Area Number |
14540565
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
中村 重人 八戸工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (90180364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若松 義信 八戸工業高等専門学校, 総合科学科, 教授 (80042133)
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Keywords | 溶媒抽出 / 協同効果 / 希土類元素 / 中性二座配位子 / 分離係数 / β-ジケトン |
Research Abstract |
金属イオンの溶媒抽出において、酸性抽出試薬による抽出系に中性配位子を添加すると抽出が著しく増大する場合があり協同効果と呼ばれる。一般に、金属間の分離は悪くなることが知られているが、ある特定の酸性抽出拭薬と中性二座配位子の組合せで、金属間の分離が向上することがある。本研究では、協同効果による希土類元素間の分離係数の変化に関わる因子の影響について検討し、さらに環境への負荷の小さい試薬による高い分離性能を有する系の開発をめざす。昨年度、酸性抽出拭薬として2-テノイルトリフルオロアセトン(Htta)、配位原子の異なる種々の中性二座配位子によるLa、Gd、Luの協同効果を調べたところ、オキシム系N原子を2つ持つ1,2-シクロヘキサンジオンジオキシム(chdo)でGd-Lu間での分離係数が増大することがわかったので、今年度は、新たに導入きれたICP-AESにより全希土類元素の抽出挙動を詳細に調べた。その結果、軽希土では大きな協同効果を得られるものの、原子番号が増加するに従って、次第に協同効果は小さくなるが、GdからHoまでは協同効果が増加しその後はほぼ一定となった。従って、Gd-Lu間で分離係数が増大したのは、GdからHoまでの増加分が寄与したためとわかった。また、酸解離定数の小さいβ-ジケトン類のジベンゾイルメタンを酸性抽出試薬として、1,10-フェナントロリン(phen)による全希土類元素の抽出挙動を調べた。phen共存における金属間の付加錯体生成定数はLa-Gd間で増大傾向を示し、それ以降は減少していた。従って、金属間の分離は、協同効果によりLa-Gd間で向上した。多少の出入りはあるが、希土類元素間の分離係数が最も大きいものの一つであるジ-2-エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)系と比較して、La〜Tb間において本系の方が分離の良いことがわかった。
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Research Products
(1 results)