2003 Fiscal Year Annual Research Report
熱赤外線放射型CTを用いた燃焼火炎内温度分布計測システム
Project/Area Number |
14550411
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
伊藤 直史 群馬大学, 工学部, 講師 (20223159)
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Keywords | 温度計測 / 放射測温 / 赤外線センサ / CT / 計算機トモグラフィ |
Research Abstract |
平成14年度に、256素子InGaAs赤外線アレイセンサを使用して燃焼火炎からの熱放射の投影像を収集する計測システムを構築した。また、このシステムを用いて基礎的な実験を行い、光路長が約20mmのメタン/空気混合炎の場合、最大で約10%の吸収(透過率0.90)があることを明らかにした。これは、このセンサの観測波長域(最大感度波長2.4μm)での水蒸気の吸収が大きく、温度分布の計測に適していることを示している。 平成15年度は、黒体炉を用いたセンサ出力の校正方法の確立、投影データ収集の精度の向上、いくつかの間題点の解決と燃焼火炎内温度分布の再構成を行った。問題点の最大のものは、温度が室温に近くてほとんど熱放射がないはずの炎の外側からも熱放射があるような計測データが得られるという点である。この問題については、測定対象の炎と計測に用いる外部放射源(数msで光強度が変調されている)以外からの迷光が原因ではないかと考えているが、詳しい原因は調査中である。迷光を遮断するように装置を改良した結果、炎外部からの熱放射は改善前の1/2以下に減少した。この投影データに、本研究で開発している温度分布再構成アルゴリズムを適用し、燃焼火炎断面の吸収分布と温度分布を得た。一般に、ガスバーナーによる炎は内炎部分と外炎部分に分けることができ、後者の方が温度が高く、温度分布はドーナッツ状のパターンを示す。再構成された温度分布はこのような分布を示しており、形状としては妥当な結果が得られた。ただし、温度のピークの値は約900Kとなっている。熱電対による温度計測では、ピークの値は約1800Kであり、大きな差がある。その原因の解析は今後の課題である。 本手法は水蒸気の吸収帯を観測波長域としているので、さまざまな燃料組成の燃焼火炎に対して適用可能である。また、非接触の計測であるため、熱電対の使用上限温度(1800Kという温度は上限に近い)を超える温度の燃焼火炎についても、原理的には測定することができることが確認できた。
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