2002 Fiscal Year Annual Research Report
表面プラズモン励起増強蛍光分光法で観測する超薄膜表面の分子認識過程
Project/Area Number |
14550854
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
田和 圭子 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間系特別研究体, 主任研究員 (80344109)
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Keywords | 表面プラズモン励起増強蛍光分光法 / 分子認識 / 超薄膜 / ロタキサン / 光制御 / ポリエチレングリコール / シクロデキストリン / アゾベンゼン |
Research Abstract |
本研究は、超薄膜による分子認識過程を一連の表面プラズモン分光(SPR)法により観測し、超薄膜構造とキネティクスとの関係を明らかにすること、そして分子認識によりつくられるロタキサン構造を光制御することを目指したものである。本年度は計画に沿って(1)表面プラズモン分光装置の立ち上げと(2)基本骨格となるアゾベンゼン修飾エチレングリコール(チオール末端)鎖の合成及びその超薄膜作製を行った。まず装置については、表面プラズモン分光装置のセットアップを終え、来年度に完成させる計画であった表面プラズモン励起増強蛍光分光装置にまでヴァージョンアップすることができた。(ドイツ・マックスプランク高分子研究所の研究者を招聘でき、装置制御プログラムを完成させることができたためである。)超薄膜作製においては、一方の末端がチオールで他方の末端にアゾベンゼンが置換されたエチレングリコール鎖(n=6) AzoPEG6Sの合成ができたので、スペーサーとしてアルカンチオール鎖を用いて自己組織化単分子膜を調製した。この単分子膜生成の様子を表面プラズモンで観測することができたが、SPRのディップのシフトからこの単分子膜が4nmの膜厚であることも分かった。この値はAzoPEG6Sの分子式から考えると妥当な膜厚だと考えられる。さらに、バンドフィルターを用いてこの膜に350nmの光を照射すると、膜厚の減少が観測された。これは末端に修飾されたアゾベンゼンがトランス体からシス体に光異性化するためと考えられる。また、光照射前の単分子膜にα-シクロデキストリン(CD)の飽和溶液を加えると、SPRのディップの広角側へのシフトは金基板にCD溶液を加えたときと比べて0.3度以上大きいことがわかった。これはCDとのプソイドロタキサン構造を形成しているためと考えられる。来年度はさらに長いエチレングリコール鎖のAzoPEG12Sの合成を行うこと、これらの超薄膜のロタキサン構造について詳細に調べ、光照射によってロタキサン構造を制御することを計画している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Keiko Tawa, Wolfgang Knoll: "Out of Plane Photoreorientation of Azo Dyes in Polymer Thin Films Studied by Surface Plasmon Resonance Spectroscopy"Macromoolecules. 35(18). 7018-7023 (2002)
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[Publications] Keiko Tawa: "Polarized-Light Induced Orientation of Azo-Dyes Polymer Matrix Studied by Polarized Spectroscopy"Kobunshi Ronbunshu. 59(8). 499-509 (2002)