2002 Fiscal Year Annual Research Report
有機物がアブラナ科野菜根こぶ病菌休眠胞子に及ぼす影響とその要因の解析
Project/Area Number |
14560053
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
長岡 俊徳 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助手 (80237502)
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Keywords | アブラナ科 / 根こぶ病 / Plasmodiophora brassicae / 休眠胞子 / 有機物 / 油粕 |
Research Abstract |
(1)有機物が休眠胞子密度に及ぼす影響:有機物を添加した土壌に休眠胞子(10^7個/g乾土)を接種して、25℃で培養後の土壌中の休眠胞子密度の変化を比較した。無添加の場合とナタネ油粕、牛糞堆肥、下水汚泥コンポストを各1%添加した場合の休眠胞子密度は、培養前と比べて、30日間培養でそれぞれ17、61、10、12%、90日間培養でそれぞれ26、68、22、18%低下した。また、ナタネ油粕を添加しない場合と0.2、0.5、1%添加した場合の休眠胞子密度は、35日間で培養前と比べてそれぞれ26、45、54、76%低下した。以上のことから、用いた有機物の中では特にナタネ油粕に0.2%以上の添加量で休眠胞子密度を低下させる効果があること、その効果は培養30日目までが顕著であることなどが明らかになった。 (2)有機物が休眠胞子の発芽に及ぼす影響:ナタネ油粕の水抽出液の休眠胞子発芽促進作用について調べたが、明らかな促進作用は見られなかった。今後、ナタネ油粕の抽出方法やナタネ油粕の分解産物の作用などについて、さらに検討が必要と考えられた。 (3)栽培作物と有機物が土壌中の休眠胞子数に及ぼす影響:ナタネ油粕を0.5%添加した土壌と添加していない土壌に休眠胞子(6x10^6個/g乾土)を接種して、育苗ポットでハクサイ(根こぶ病抵抗性品種)、ハダイコン、エンバクを約1ヶ月栽培し、栽培前後の休眠胞子密度を比較した。ナタネ油粕無添加土壌の休眠胞子密度は、無栽培に比べて、ハクサイ、ハダイコン、エンバク栽培で、それぞれ18、71、72%低下した。一方、ナタネ油粕添加栽培土壌では、それらの無添加栽培土壌よりさらに約80%低い休眠胞子密度となり、ハダイコンやエンバクなどのおとり作物の栽培とナタネ油粕施用を併用することで休眠胞子密度をより効果的に低下させうることが確認された。
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