2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14560278
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Research Institution | National Agriculture and Bio-oriented Research Organization |
Principal Investigator |
塩野 浩紀 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 動物衛生研究所・北海道支所・臨床生化学研究室, 室長 (30343958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 行雄 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 動物衛生研究所・企画調整部・研究企画科, 科長
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Keywords | 牛 / 小型ピロプラズマ病 / 貧血 / 赤血球 / 自己抗体 / 貪食 / ハインツ小体 / 酸化 |
Research Abstract |
小型ピロプラズマ病の主要症状である貧血の発生機構を明らかにするために、活性酸素による細胞傷害(酸化ストレス)の観点から、赤血球の寿命短縮にかかわる細胞化学的な性状を調べた。 正常(非感染)牛の赤血球を人工的に酸化傷害させたもの、および同一牛の無傷赤血球を貧血発生時の実験感染牛から採取した血清と反応させたところ、感染牛血清中の自己IgG抗体は無傷赤血球よりも酸化傷害赤血球に多く付着した。この結果から、感染牛の血清中には酸化傷害された赤血球に結合する自己抗体が増加していると考えられる。 実験感染牛および正常(非感染)牛から単球と赤血球を分離し、チェンバースライドシステムを用いて単球の赤血球貪食能を調べた。慢性感染牛の単球による自己および非自己(正常)赤血球に対する貪食率は、正常(非感染)牛の単球による自己および非自己赤血球の貪食率よりも高かった。感染牛では原虫感染による何らかの作用で貪食細胞が活性化され、末梢血中における赤血球貪食能が亢進している可能性がある。 実験感染牛の感染経過から採取した血液に超生体染色を行い、赤血球破壊亢進の指標となるハインツ小体(酸化変性したヘモグロビンの赤血球膜への沈殿物)の証明を試みたところ、貧血の進行に一致してハインツ小体の生成量は著明に増加した。 本研究を総括し、これまで不明であった本病における赤血球寿命短縮の機序に関して、「小型ピロプラズマ病では感染経過で原虫寄生・非寄生赤血球の両者に著明な酸化ストレスが負荷され、貪食細胞がこれらの酸化傷害赤血球を認識・貪食することで血中から排除する」という貧血の発生機構が提唱される。
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Research Products
(3 results)