2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトミトコンドリア融合因子を用いたミトコンドリア標的リポソームの研究
Project/Area Number |
14570129
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
遠藤 仁司 自治医科大学, 医学部, 助教授 (50221817)
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Keywords | ミトコンドリア / リポソーム / 遺伝子治療 / プロテオリポソーム / 膜融合 / ミトコンドリア形態形成 / ミトコンドリア膜 / GTP結合タンパク質 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ミトコンドリア病の遺伝子治療法の基礎的研究として、ミトコンドリアを特異的に標的するリポソームベクターを開発することである。本研究では、(1)ヒトミトコンドリア融合因子を単離し機能ドメインの検討を行い、ミトコンドリア凝集・融合に必須なドメインを明らかにする、(2)このドメインの組換え蛋白を作製し、ミトコンドリアを標的するプロテオリポソームを作成し、試験管内での膜融合活性を検定する、(3)ミトコンドリア融合装置の補助因子を解析する。以上の研究を通じて、ミトコンドリアを特異的に標的するリポソームベクター開発の基礎的研究を施行する。 ヒトミトコンドリア融合因子(hFzo2,3)のカルボキシル末端領域はミトコンドリア融合活性を示す活性領域である。本領域は各々394および389のアミノ酸長を有し、N末端側からコイルドコイルドメイン、二つの膜貫通ドメイン、コイルドコイルドメインの各ドメイン構造を有する。この領域をコードするcDNAを大腸菌発現ベクターであるpQE80Lにサブクローニングし、大腸菌に形質転換した。次にIPTGで誘導させHis-hFzo融合タンパク質を大量発現させた。次に、精製タンパク質に大豆リン脂質を混和させプロテオリポソームを作成した。本年度は、このリポソームの膜融合活性をTb/DPA法を用いて測定した。Tb/DPA法はTbとDPAを内包するそれぞれのリポソームを作成したのち、それらを試験管内で反応させる方法である。膜そのものを蛍光でラベルした場合とは異なり、リポソームの内腔がミキシングしなければTb/DPAの蛍光が発しないため、Tb/DPA法はより厳しい条件下での膜融合活性の測定が可能である。それらの膜融合活性をTb/DPAの蛍光強度を経時的に測定し検討した。その結果、hFzoを含むプロテオリポソームでは、コントロールである大豆リン脂質のみのリポソームに比較してTb/DPAの蛍光強度増加の初速度が有意に高値を示した。すなわちリポソーム同士が融合しかつそれらの内容物が混和することが示された。以上から、hFzoタンパク質はそれ自身が膜融合活性を有する分子であることが示された。今後、本リポソームを用いて細胞内のミトコンドリアに遺伝子の導入を試みる予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Inoki, T.: "Human DDB2 splicing variants are dominant negative inhibitors of UV-damaged DNA repair."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 314. 1036-1043 (2004)
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[Publications] Sakashita, E.: "Human RNPS1 and Its associated factors : a versatile alternative pre-mRNA splicing regulator in vivo."Mol.Cell.Biol.. 24. 1174-1187 (2004)
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[Publications] Naito, M.: "Defective sorting to secretory vesicles in trans-Golgi network is partly responsible for protein C deficiency."Circ.Res.. 92. 865-872 (2003)
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[Publications] Yokouchi, K.: "Stage-specific regulatory element of mouse Sry gene."Mol.Reprod.Dev.. 64. 389-396 (2003)
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[Publications] Jin, Y.: "A vertebrate RNA-binding protein Fox-1 regulates tissue-specific splicing via the pentanucleotide GCAUG."EMBO J.. 22. 905-912 (2003)
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[Publications] Satoh, M.: "Differential sublocalization of Dynamin-related protein OPA1 isoforms in mitochondria."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 300. 482-493 (2003)
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[Publications] 遠藤仁司: "分子生物学イラストレイテッド 改訂第2版"田村隆明、山本 雅 編集、羊土社. 380 (2003)