2003 Fiscal Year Annual Research Report
p53遺伝子解析による種属とヒトの進化、分岐に関する研究
Project/Area Number |
14570391
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
安積 順一 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00045551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉木 敬二 京都大学, 医学部, 教授 (90217175)
松本 博志 札幌医科大学, 医学部, 教授 (60263092)
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Keywords | p53遺伝子第7イントロン / DNA多型 / アリル頻度 / 民族特異性 / 連鎖不平衡 / 進化・分岐 |
Research Abstract |
1.p53遺伝子第7イントロンのDNA多型と民族特異性 インフォームドコンセントを得て採取した日本人成人105名のp53遺伝子第7イントロンのDNA多型出現頻度について調べた。DNA多型があると報告されている第7イントロン5ヵ所の内、p53遺伝子14181番目とその20bp下流の14201番目である第7イントロンの72番目(C→T)と92番目(T→G)の塩基に多型が認められた。72番目でC/Tは92番目でT/Gであり、C/CはT/T、T/TはG/Gであった。この事から72番目と92番目は完全連鎖不平衡の状態にあり、ハプロタイプはC-T ; T-Gであった。その頻度はC-Tホモが57.14%、T-Gホモが7.62%、C-T/T-Gヘテロが35.24%であり、さらにこの頻度から計算した日本人のアリルの頻度はC-T:0.745、T-G:0.245であった。 第7イントロン72番目の多型(C/T)をヨーロッパ人のアリル頻度とアジア人のアリル頻度を比較したところ明らかに有意差があり、民族特異性があることが明らかになった。 2.p53遺伝子第7イントロンの進化・分岐 ヒトと類人猿の第7イントロン塩基配列を比較したところ、チンパンジー、ピグミーチンパンジーにおいて2ヵ所、ゴリラにおいては3ヵ所に塩基置換が認められた。上記以外の類人猿においても10ヵ所以上の塩基置換や欠失が認められた。ヒトと類人猿の第7イントロンの相同性を比較したところ、ヒトとチンパンジー、ピグミーチンパンジーで99.4%、ゴリラで99.1%、オランウータンで91.8%、シロテナガザルで96.2%、フクロテナガザルで97.1%となり、ヒトと類人猿の平均相同性は約97.17%であった。ヒトに多型が認められる第7イントロンの72番目の塩基は6種類の類人猿すべてにおいてC/Cホモであり、また92番目はT/Tホモであった。この事からヒトでみつかったC→TおよびT→Gの塩基置換は、類人猿からヒトに進化、分岐した後に起こったものと考えられる。
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[Publications] 安積順一, 松本博志, 玉木敬二: "p53遺伝子を用いた人獣鑑別法の検討"DNA多型. 10. 246-251 (2002)
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[Publications] Mizukoshi T, Tamaki K, Azumi J, Matsumoto H, Imai K, Jaffreys AJ: "Allelic structures at hypervariable minisatellite B6.7 in Japanese show populataion specificity"J Human Genet. 47. 232-238 (2002)
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[Publications] 安積順一, 松本博志, 玉木敬二: "p53遺伝子解析による人獣鑑別に関する研究-ヒトと非ヒト霊長類の鑑別-"DNA多型. 11. 19-22 (2003)
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[Publications] 安積順一, 魏慧玲, 藤井裕人, 松本博志, 玉木敬二: "日本人集団におけるp53遺伝子のDNA多型解析-第7イントロンの多型性-"DNA多型. 12(印刷中). (2004)