2002 Fiscal Year Annual Research Report
肺線維症の組識リモデリングにおけるマスト細胞と線維芽細胞の新しい役割と治療モデル
Project/Area Number |
14570573
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Research Institution | Clinical Research Center, National Hospital Organization, Kinki-Chuo Chest Medical Center |
Principal Investigator |
井上 義一 国立療養所近畿中央病院臨床研究センター, 呼吸不全研究部長 (90240895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 光 国立国際医療センター研究所, 呼吸器疾患研究部, 細菌性呼吸器疾患研究室長 (80207802)
岡田 全司 国立療養所近畿中央病院臨床研究センター, 結核研究部長 (40160684)
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Keywords | マスト細胞 / 線維芽細胞 / 肺線維症 / リモデリング / MMP / bFGF / Flg / Bek |
Research Abstract |
肺のリモデリングから病的な線維化、構造破壊に至る機序についてマスト細胞と線維芽細胞の相互作用を中心に検討し、新しい肺線維症の治療法を開発する事が目的である。(1)特発性肺線維症患者(IPF)の肺組織中でマスト細胞が増加し、basic fibroblast growth factor(bFGF)を産生していること、bFGFのレセプターであるFGFR1(Flg)とFGFR2(Bek)が線維化部位で増加する細胞群(線維芽細胞、特に筋線維芽細胞、肺胞II型上皮細胞、血管内皮細胞等)に発現していることを明らかにした(AJRCCM2002)。肺線維症/間質性肺炎には予後良好な群と不良な群があり、2002年に国際分類が発表され、病理像と予後との関係がより明らかにされた。新しい分類に従い我々の肺生検組織の診断を標準化するため、国際分類に関わった病理医に病理診断の再評価をお願いし診断を確実なものとした上で、更に患者肺組織を用いた検討を続けている。その結果、マスト細胞と(筋)線維芽細胞が線維化部位で近接して増加し、線維芽細胞を中心とした間質細胞から抗線維化作用を有するmatrixmetalloprotease-2(MMP-2)が産生されている事、特に予後良好な線維症で増加する事が示唆された。(2)以上の現象をin vitroで検討するため、ヒトマスト細胞の細胞株(HMC-1)とヒト線維芽細胞株(HFL-1)を用いて種々の条件で混合培養を行っている。その結果マスト細胞の培養上清を加えた線維芽細胞でのMMP-2濃度は時間依存性、濃度依存性に増加する事、更にMMP-2の活性化も誘導される事を見出した。現在、マスト細胞の培養上清中のMMP'2濃度増強因子、活性化因子について検討中である。我々はマスト細胞および線維芽細胞から産生されるbFGF濃度についても同様に混合培養を行い相互に影響を受ける事を見出した。
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Research Products
(14 results)
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[Publications] Yoshikazu Inoue, et al.: "Basic fibroblast growth factor and its receptors in idiopathic pulmonary fibrosis and lymphangioleimyomatosis"Am J Resp Crit Care Med. 166. 765-773 (2002)
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[Publications] Yoshikazu Inoue, et al.: "L523s, a RNA binding protein as a potential therapeutic target for lung cancer"British J Cancer. 88. 887-894 (2003)
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[Publications] Yoshikazu Inoue et al.: "Chronic eosinophilic pneumonia due to viceral larva migrans"Internal Medicine. 41. 478-482 (2002)
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[Publications] 井上義一: "特発性間質性肺炎と紛らわしい周辺疾患"呼吸器科. 1. 451-469 (2002)
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[Publications] 井上義一: "特発性肺線維症"新しい診断と治療のABC3/呼吸器. 3. 125-135 (2002)
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[Publications] 井上義一他: "間質性肺病変とKL-6,SP-A,SP-D:肺の画像から見て"日本胸部臨床. 61. 125-133 (2002)
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[Publications] 井上義一: "肺胞蛋白症の病勢、重症度と血清マーカー"日本胸部臨床. 62. 223-231 (2003)
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[Publications] 井上義一他: "慢性肺気腫患者における3D-CTによる気腫化(%LAA)と肺機能検査との比較"臨床放射線. 48. 133-136 (2003)
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[Publications] 井上義一: "胸部X線異常、乾性咳嗽と労作時呼吸困難で来院した55歳、男性"Case Method Approach 9,呼吸器疾患(第2版). 9. 263-275 (2002)
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[Publications] 井上義一: "肺胞蛋白症の診断、管理と血清マーカー"細胞. 34. 8-11 (2002)
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[Publications] 井上義一: "ベリリウム従事者に認められたサルコイドーシスの一例"日本サルコイドーシス学会誌. 22. 31-35 (2002)
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[Publications] 井上義一他: "肺非定型抗酸菌症"Medicina.39:1920-1923.2002. 39. 1920-1923 (2002)
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[Publications] 井上義一: "びまん性肺疾患の臨床"金芳堂(泉孝英監修, さか谷光則, 長井苑子, 北市正則,井上義一編). 19 (2003)
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[Publications] 井上義一: "Nursing selection呼吸器疾患"学研(木村謙太郎, 松尾ミヨ子監修). 8 (2003)