2002 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルムス腫瘍の新しい癌抑制遺伝子の同定と悪性化機構の解明のための研究
Project/Area Number |
14570770
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中舘 尚也 北里大学, 医学部, 講師 (30306633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 安比古 埼玉県立がんセンター病院, デイケア部, 部長(研究職)
松浦 信夫 北里大学, 医学部, 教授 (50002332)
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Keywords | ウイルムス腫瘍 / WT1 / TSLC1 / LOH / メチレーション |
Research Abstract |
代表的な小児腎原発悪性腫瘍であるウイルムス腫瘍について、片腎性かつ孤発性の本邦のウイルムス腫瘍121例を対象に、(1)発生頻度の日欧での違いの分子遺伝学的解析、(2)WT1遺伝子以外のウイルムス腫瘍の原因遺伝子(新しい癌抑制遺伝子WT3)の可能性の検討についての研究を行なった。WT1遺伝子のエクソン1から10までのdirect sequencingによるmutation/deletion解析では、121例中9例にexon2に2例、exon7に2例、exon8に2例、exon9に2例、exon10に1例、変異が検出された。次に、11番染色体の物理地図を参考に、遺伝子多形マーカーの中から、9個のマイクロサテライトマーカー、2個のRFLPマーカーの全11個のマーカー(11p15領域にはS922、TH01、S932、11p13領域にはPAX6、またRFLPマーカーとして、ApaL1とHha1を、11p12領域にはS903、11q22領域にはS4100、11q23領域にはNCAM、S1885、S1364)を用いて、正常組織DNAも得られた98例に対してLOH解析を行い、LOHは認められたのは98例中34例(28.1%)に認めた。11p13で13.2%、11p15で14.0%、11p13と11p15両領域で19.0%、11p13領域に限局するものは3.3%、11p15領域に限局したのは5.0%であった。11qに15.7%と高頻度にLOHが認められ、共通欠失領域は11q23であった。11q23には肺癌の癌抑制遺伝子のTSLC1遺伝子があり、11qLOHが認められた34例では、TSLC1遺伝子にはmutation/deletionのいずれも認められなかった。次に、Bisufite-Sequencing法によりメチル化を検討し、検討可能だった23例中11q23にLOHが認められた14例のうち3例と11q23にLOHが認められなかった9例中1例にmethylationが認められた。
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