2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト型人工抗体を用いた消化器癌に対する分子標的治療の基礎的検討
Project/Area Number |
14571163
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
赤堀 泰 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助手 (80221711)
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Keywords | ヒト抗体ライブラリー / KDR / CEA |
Research Abstract |
(1)血管新生因子VEGFの受容体であるKDRに対する抗体単離実験 癌においては血管新生が行われており、癌細胞の分泌するVEGFによって血管内皮細胞上に、その受容体であるKDRが発現誘導されることが知られている。申請者はこのKDRを標的にしたヒト抗体を作製する研究を行った。抗体は癌部の血管内皮細胞に作用して、ADCCの作用を引き起こし、その部分での血管新生を止める作用を及ぼすことが期待される。また、マウスより得られた抗体のなかには血管内皮細胞にアポトーシスを誘導する抗体が存在することも知られている。このような癌治療に役立つ抗体の開発が本研究の目的である。申請者は研究期間中に以下のことを行った。 1.DR抗原ペプチドの大腸菌発現、精製、それを用いたヒト抗体ライブラリーのスクリーニングを行った。 2.抗体クローンをピックアップして、抗原ペプチドを用いたELISA解析を行い、最終的に陽性抗体クローン12個を単離した。 3.これらについて、パラフィン包埋切片に対する組織染色を行い、癌部の血管内皮細胞、腺癌を認識する抗体クローン3種類を得た。 以上、得られた抗体は癌部の新生血管内皮細胞を認織しており、KDRに対するヒト抗体が単離できた可能性が極めて高いと考えられる。今後さらにKDRを発現させたCOS cellを作製してその認識を確認する予定である。また、IgG化を行い、ADCC作用についての検討を行うことも予定している。 2)胃癌細胞株MKN-45に対する細胞スクリーニングと、それからの抗CEA抗体の単離 消化器癌においては、癌特異的抗原CEAが発現されている。これは細胞外分泌される分子であるが、癌細胞表面にも保持されており、抗体による癌治療の標的として適切である。申請者はCEAを認識する抗体についても単離を試みた。 1.MKN-45に対して、申請者が開発した有機溶媒法によるスクリーニングを行い、多種類の細胞表面抗原認識抗体を単離した。 2.これらについて、さらにCEAによりスクリーニングを実施し、4種類の抗CEA抗体を単離した。 3.そのうち1種類については完全長IgG1型に変換し、抗原認識が保持されていることを確認した。 以上、抗CEA抗体についても単離が確認された。今後さらにこの抗体がヒト消化器癌を認識するかどうか、また、作製したIgGが癌細胞に対する生理作用を持つかどうかについての検討をさらに行う予定である。
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