2002 Fiscal Year Annual Research Report
術後高ビリルビン血症に対する高圧酸素療法の有用性:ビリルビン抗酸化作用の観点から
Project/Area Number |
14571209
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清水 周次 九州大学, 医学部附属病院, 助教授 (70274454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千々岩 一男 宮崎医科大学, 医学部附属病院, 教授 (90179945)
山口 幸二 九州大学, 医学部附属病院, 助教授 (50191226)
黒木 祥二 九州大学, 医学部附属病院, 講師 (30215090)
山口 登喜夫 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (30134745)
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Keywords | ビリルビン / 高圧酸素療法 / 酸化ストレス / 尿 / 黄疸 / 抗酸化剤 |
Research Abstract |
【目的】高ビリルビン血症に対する高圧酸素療法の有用性を、ビリルビン抗酸化作用の観点から証明する。 【方法】まずビリルビン値が正常で高圧酸素療法を行っている患者をコントロールとするため、脳腫瘍(ガンマ線照射後)、脳梗塞、網膜動脈閉塞症、椎骨脳底動脈瘤循環不全など計87名の患者より、それぞれ高圧酸素療法前後の血清および尿を採取した。平均年齢53歳、男女比は55:32であった。高圧酸素療法は2絶対気圧で1時間施行し、加圧、減圧はおのおの15分かけて行った。血清中のビリルビン値、AST、CRPを自動分析器で、また尿中のビリルビン酸化物(BOM)を免疫酵素抗体法で測定した。 【現在までの結果】高圧酸素療法前後の尿中BOMはそれぞれ2.8±2.1u/L、2.9±2.2u/L、総ビリルビンは0.6±0.3mg/dl、0.7±0.5mg/dl、ASTは23.0±13.6IU/L、22.5±14.4IU/L、CRPは0.5±1.4mg/dl、0.5±1.5mg/dlであった。統計上すべての項目で、高圧酸素療法による影響は認められなかった。また連続投与(7回から30回)を行った患者の初回投与前と最終投与後の間にも、有意なビリルピンの減少は認めなかった。 【考察ならびに今後の計画】 コントロールの患者では高圧酸素投与前後で血清ビリルビン値の低下も認められず、したがって尿中BOMの増加もなかった。またそれに伴う肝機能障害、および炎症所見の増大は認められなかった。現在これらコントロール患者と平行して、高ビリルビン患者のサンプルを他施設にも協力を依頼しながら採取中である。これらの試料の分析はBOM以外の酸化ストレスマーカーを含め、来年度にまとめて施行予定である。
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