2003 Fiscal Year Annual Research Report
癌性腹膜炎に対する温熱治療の効果増強剤としてのフリーラジカル反応基剤封入体の開発
Project/Area Number |
14571218
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
木村 彰夫 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (40305602)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 登志哉 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (30311913)
|
Keywords | 癌性腹膜炎 / 温熱治療 / エイコサペンタ酸 / マイクロスフェア |
Research Abstract |
これまでの研究において、局所再発した直腸癌に、温熱・放射線療法と併用して多価不飽和脂肪酸を含む5-FU坐剤を用いることにより、著明な腫瘍縮小効果が得られたことが確認されている。本研究では、多価不飽和脂肪酸を封入体としたマイクロスフェアーを開発し、この多価不飽和脂肪酸に温熱が加わることにより生じるフリーラジカルによる抗腫瘍効果を期待し、腹腔内投与による、癌性腹膜炎における温熱化学療法に応用することを計画した。 多価不飽和脂肪酸であるエイコサペンタ酸(EPA)は、n-3系多価不飽和脂肪酸ともいわれ、青魚に多量に含まれ、血小板凝集の抑制から、血栓防止や中性脂肪の低下、癌抑制、抗炎症作用など報告されている。基本的に体内では合成できない脂肪酸で、常温および、37℃で液体の物質である。この物質を、モノクローナル抗体を用いてin vitroにて定量的に測定を試みようとしたが、現在、安定した定量化が不充分で再現性に乏しい結果となった。物質の安定性そのものに影響を受けているか、あるいはモノクローナル抗体そのものの問題があると考えている。酸化防止剤の添加や、分子量、側鎖の種類の変更を行い、定量の普遍性を追求していた。 今回定量化が不完全だったので、腹腔内投与時の腹膜面のリンパ節組織への移行性、および、停滞性をドンリュウラットの乳斑を用いた測定ができず、その結果、選択性に優れ、安定したマイクロスフェアーを開発には至らなかった。さらに、他臓器の毒性についてもドンリュウラットを用いて検討を行い、これから臨床応用時の副作用の予測等を行う予定であったが今年度はそれができなかった。
|