2002 Fiscal Year Annual Research Report
凍結保存同種弁・血管の生着率向上に関する実験的検討
Project/Area Number |
14571258
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 稔 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40270871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本村 昇 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40332580)
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Keywords | ホモグラフト / 凍結保存 |
Research Abstract |
われわれの医学部附属病院ホモグラフトバンクでは、倫理委員会の承諾を経て、弁・血管組織の提供者のご家族の了解の上で、ホモグラフトの移植成績向上のために、提供組織の一部の実験使用が可能となっている。提供されたヒト組織の中のうちトリミング等で不要となった小片を使用して、病理組織学的な観察を行った。 心停止ドナーから心停止6時間以内に無菌的に摘出し、24時間の抗生剤溶液浸漬の後、凍結保存液に入れ、プログラムブリージングによって-80℃まで凍結した。液体窒素気相(-160〜-190℃)に保存管理し、臨床使用する際には、40℃の温水で急速解凍した。 摘出直後のホモグラフトは内皮細胞を含めて、正常の構造を維持していた。抗生剤処理後には、内皮細胞の変形や脱落がごく軽度に認められた。臨床使用されたホモグラフトについての病理組織学的検索を6例に行い得た。大動脈については、中膜・外膜はほぼ正常に保たれていたが、1例で中膜にmyxoidな変性、弾性線維の走行の乱れや粗鬆化が多少観察された。内皮細胞は全例で広範囲に渡って脱落や変形をきたしていた。炎症細胞はほとんど認められず、1例で外膜側の一部にリンパ球とフイブリン塊の付着を認めたのみであった。静脈グラフトのホモグラフヘの吻合部の仮性瘤の形成のために、植え込み後2年半経過した大動脈基部ホモグラフトの摘出が1例に行われた。大動脈弁の機能は保たれていた。 摘出ホモグラフト(大動脈部分)には、弾性線維の断裂、部分的な好中球の小集合や組織壊死が認められた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Arata murakami, et al.: "Sapherous vein homograft containing a valve as a right ventricle-pulmonary artery conduit"J Thorac Cardiovasc Surg. 124・5. 1041-1042 (2002)
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[Publications] 本村昇 ほか: "組織移植(心臓弁・血管)の現状"成人病と生活習慣病. 33・1. 106-108 (2003)