2003 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷における神経細胞死抑制と骨量減少の予防法の開発
Project/Area Number |
14571383
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Research Institution | Kagawa University Faculty of Medecine |
Principal Investigator |
森 諭史 香川大学, 医学部, 助教授 (00190992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板野 俊文 香川大学, 医学部, 教授 (60145042)
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Keywords | 脊髄損傷 / アポトーシス細胞死 / 全身低体温療法 / 神経再生 / ネスチン / 放射状グリア細胞 / 3CB2抗原 / 軟膜下アストロサイト |
Research Abstract |
脊髄損傷(以下、脊損)は、その障害は不可逆的で、神経学的機能障害が残存する疾患である。従来よりその病態や治療法について多くの研究がなされている。近年、中枢神経損傷では、実験的ならびに臨床的にも全身低体温療法が、著明な神経細胞死抑制効果を有することが示されている。我々は、脊髄でも同様の神経保護効果が得られるのではないかと考え、ラットの外傷性脊損モデルを使用し、脊損に対する低体温療法の効果を検討する実験を計画した。その結果、低体温は脊損後のアポトーシス細胞死を抑制し、運動機能改善に寄与する可能性を明らかにした。また最近、人を含む成熟哺乳類の中枢神経系でも神経幹(前駆)細胞が存在し、神経再生があることが報告されている。そこで脊損の神経再生、修復のメカニズムを明らかにするために、神経幹細胞のマーカー蛋白であるネスチン発現の免疫組織化学的解析を行った。その結果、1)損傷後にネスチン発現は、上衣細胞から直接発現するものと軟膜下から発現するものがある。2)白質部のネスチン陽性細胞は、長い突起状の構造でGFAPとほぼ完全に共存し、形態的にも胎生期に発現する放射状グリアと一致する。3)脊髄での神経再生、修復に主要な役割を果たす神経幹(前駆)細胞の局在は、軟膜下アストロサイトであると結論した。さらにこの研究を足がかりにし、脊損の再生、修復についての研究を進めた。本研究では、放射状グリア細胞の特異的マーカーである3CB2発現について検討した。その結果は、1)脊髄白質で拡大する3CB2陽性の突起状細胞が軟膜下からはじまる。2)この細胞は2重染色でネスチン、GFAPの両者と共存している。3)中枢神経発生の最も初期段階でのみ出現する放射状グリアが、脊損後に再度出現し、やがてオリゴデンドロサイト、アストロサイト、ニューロンなどに分化、増殖している可能性があると結論した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shibuya S: "Post-traumatic moderate systemic hypothermia reduces TUNELpositive cells following spinal cord injury in rat."Spinal Cord. 42(1). 29-34 (2004)
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[Publications] Shibuya S: "Temporal progressive antigen expression in radial glia after contusive spinal cord injury in adult rats."Glia. 42(2). 172-183 (2003)
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[Publications] Shibuya S: "Embryonic intermediate filament, nestin, expression following traumatic spinal cord injury in adult rats."Neuroscience. 114(4). 905-916 (2002)