2002 Fiscal Year Annual Research Report
下顎全部床義歯における軟質裏装材の厚さに関する臨床的検討
Project/Area Number |
14571874
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
山本 公洙 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (40175667)
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Keywords | 軟質裏装材 / 顎堤粘膜厚径 / 咀嚼能率 / 主観的評価 / 咬合バランス |
Research Abstract |
軟質裏装材の厚さの違いが、患者の咀嚼能力や義歯に対する主観的評価にどう影響するかを明らかにし、さらに顎堤粘膜厚径との関連を追求する目的で、本研究の目的を理解し参加に同意が得られた上下無歯顎者3名を被験者として選択した。なお、3名とも顎堤の吸収が著明で、通常のレジン床義歯に対して、義歯不安定や疼痛を訴えている患者である。 下顎の顎堤粘膜厚径を、超音波粘膜厚径測定器(SDM, Krupp Medizintechnik)を用い寺倉の方法に準じて計測した結果、部位によって粘膜厚径に個人差がみられるものの、下顎全体の様相については寺倉の報告とほぼ同じであった。 義歯に対する主観的評価は、質問紙法を用いて咀嚼、審美、発音、総合的満足度などは5段階評価で、疼痛と装着感はVAS(Visual Analogue Scale)にて回答させた。 実験義歯は、咬合面圧力分布測定システムT-スキャンIIを用いた咬合バランスの計測や篩分法による咀嚼能力の測定に、咬合関係や粘膜面の適合状態といった軟質裏装材の厚さ以外の影響をできる限り排除するために、粘膜面のみを替える義歯とした。まず通報に従って上下全部床義歯を作製し、咬合調整や粘膜調整が終了した下顎全部床義歯粘膜面から模型を作製し、同時に複模型も3個作製した。次に上下顎義歯の咬合関係がずれないようにジグを作製し、粘膜面を1mm、2mmの厚さに規定した軟質裏装材でリライニングできるようにした。 以上、今年度に予定していた研究実施計画はほぼ達成できた。なお、被験者のうち2名は既に2mmの厚さのフィジオライナーで裏装した実験義歯を装着中で、1名は作製中である。
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