2003 Fiscal Year Annual Research Report
ホスト化合物を利用した人工アシル基転移酵素モデルの開発とその応用
Project/Area Number |
14572025
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
国嶋 崇隆 神戸学院大学, 薬学部, 助教授 (10214975)
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Keywords | 超分子 / 人工酵素 / ホストーゲスト / シクロデキストリン / クラウンエーテル / 脱水縮合反応 |
Research Abstract |
1.シクロデキストリン(CD)を利用した疎水性カルボン酸に特異的な酵素モデルの誘導適合効果 これまでに開発したCDを用いた人工酵素モデルについて,まず,反応速度論的な実験によってその反応機構の解明を行った。その結果,酵素系は,基質濃度によって速度が飽和するというMichaelis-Menten式に従う挙動を示したことから,反応基質と触媒との間に前平衡がある酵素様の反応機構で進行することが示された。しかしながら,この際,分子間反応速度を考慮すると,実験データが理論式から大幅にずれることが分かり,この原因を解明するために更に詳細な検討を行った。様々なゲスト分子を取り込んだ時の分子間反応速度を測定したところ,触媒との親和性が高い反応基質を取り込んだ場合に於いてのみ,分子間速度が大幅に低下したのに対し,それ以外のゲスト分子では逆に分子間反応速度が増大した。この現象は触媒の配座変化によるものと考えられ,親和性の高い反応基質を取り込んだ場合のにおいてのみ,副反応が抑制され,酵素様反応が促進されることから,いわゆる誘導適合効果の一種であると結論した。これは人工酵素系の反応でも殆ど例を見ない学術的に興味深い現象である。 2.クラウンエーテルを用いたアミノ酸類の特異的アミド化酵素モデルの開発 18-クラウン-6に3級アミンを導入した化合物を用いて,ω-アミノ酸の基質特異的なラクタム化反応について検討したところ,メタノール溶媒中において1級アミノ基を持つ基質に対して特異的に反応が進行することを見出した。この際,アルカリ金属の添加効果を調べたところ,クラウンエーテルに高い親和性のあるカリウムイオンに於いて最も大きな反応阻害作用が確認され,特異性がクラウンエーテルとアンモニウムとの選択的な結合によってもたらされることを示すことができた。
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