2003 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の日常生活における身体機能維持活動としての台所作業と作業空間に関する研究
Project/Area Number |
14580129
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
竹原 広実 京都ノートルダム女子大学, 人間文化学部, 助教授 (20298706)
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Keywords | 高齢者 / 台所環境 / 活動量 |
Research Abstract |
高齢者が現有する身体機能をできるだけ長く維持し続け、健やかに生活するための生活の仕方や生活環境のあり方を考えるために本研究を行っている。本年度は2種の研究を行った。ひとつ(研究1)は、対象者を増やす目的で、昨年に引き続き高齢者の極めて日常的な生活のなかで連続48時間の活動量を測定し、高齢者がどのような生活行動にどれだけのエネルギーを要しているのかの実態測定を行った。またさらに研究2として安全で身体的負荷の少ない台所環境の要因を探ることを目的とした調査を行った。 研究1では、高齢者10名、中年者3名について対象者を増やし、合計高齢者30名、中年者22名について分析を行った。その結果、総活動量と家事活動量との相関係数を算出したところ、前期高齢者で0.464、後期高齢者で0.813と、特に後期高齢者について家事作業が活動的な日常生活を送る上で大きく寄与していることが明らかとなった。 研究2では、高齢者14名、中年者13名を対象者とし、各対象者の自宅の台所での調理作業の様子をビデオカメラで記録し、同時に活動量、心拍数、足圧分布、環境温度湿度の測定を行った。ビデオ観察より動作の特徴は、高齢者は作業中ほとんど身体を動かさず、重心移動に頼る動きであり、中年者は動くスピードも速く作業途中の歩行も多くみられる。また「下段からの物の取り出し作業」で高齢者は膝を伸ばしたまま頭を低くする姿勢が、中年者は膝を屈伸させ頭は下げない姿勢がとられる傾向があり、高齢者の場合、この時に心拍も大きく上昇する。心拍の変動については、作業終了後の安静により中年者は作業前と同程度の心拍の回復がみられたが、高齢者では回復が遅いことが明らかとなった。作業内容別では「台拭き」「米研ぎ」「妙める」「切る」「出し入れ(下段)」で大きな心拍上昇がみられた。来年度は作業別に詳細な検討を行う予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 竹原広実, 梁瀬度子: "高齢者の日常行動と身体活動量に関する研究"日本人間工学会誌第43回大会講演集. 38. 260-261 (2002)
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[Publications] Hiromi TAKEHARA, Takuko YANASE: "The Survey of the Actual Conditions of Daily Physical Activities on the Elderly -The Difference from the Middle-Aged-"XVth Triennial Congress of the International Ergonomics Association. Vol.8. 01159 (2003)
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[Publications] Takuko YANASE, Hiromi TAKEHARA: "Evaluation of Factors Affecting the Volume of Physical Activities of Daily Living in Elderly -Volume of Housework Activity-"XVth Triennial Congress of the International Ergonomics Association. Vol.8. 01160 (2003)