2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580675
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中岡 保夫 大阪大学, 生命機能研究科, 助教授 (90029562)
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Keywords | 温度感受性 / イオンチャネル / ゾウリムシ / 膜の流動性 / ラウルダン / 脂肪酸 |
Research Abstract |
細胞膜の上には環境の温度変化に応答して開くイオンチャネルがある。我々はゾウリムシの細胞膜にある温度感受性のイオンチャネルの精製とその性質の解析を目的とする研究を行った。チャネル蛋白の精製段階はこれまでのところ十分なものではないが、このチャネル活性を阻害するいくつかの化学物質が見つかった。特に多価の陽イオンを持つリゾチーム、ルテニウムレッド、ネオマイシンなどは、細胞外液に低濃度で加えることによりゾウリムシの温度下降刺激時に開くカルシウムチャネル活性を完全に阻害した。これらの阻害物質の作用として、(1)チャネル蛋白に結合してカルシウム流入を直接的に阻害する場合と、(2)チャネルを取り巻く脂質部分に働き温度下降時の脂質の流動性の変化を阻害する場合との2つの可能性が考えられる。(2)の可能性を検証するために、生きた細胞について細胞膜脂質の流動性を測定できる装置を構築した。この装置は、細胞膜脂質を蛍光色素のラウルダンで染色しておき、紫外線の励起光を当てると脂質の流動性に依存して青と緑の蛍光強度の比率が変化するという性質に基づき、青と緑の蛍光顕微鏡画像の強度の比率を求め流動性の大小を細胞レベルで推定することができる。これまでに我々は、高温耐性がある種のゾウリムシと、比較的低温でしか生きられない種のゾウリムシについてそれぞれ2種、細胞膜脂質成分の脂肪酸を調べたところ、高温耐性種の方が飽和型脂肪酸/不飽和型脂肪酸の比率が大きいという結果を得ている。そこでこれらのゾウリムシ種について膜流動性を測定したところ、高温耐性種の方が流動性が低いという結果になった。この結果は、飽和/不飽和の脂肪酸組成比率から予想される流動性と一致している。今後さらにこの装置を用い温度下降刺激時の流動性変化を測定し、温度感受性チャネルの機能解析を行いたい。
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Research Products
(2 results)