2002 Fiscal Year Annual Research Report
冷却された単一分子イオンのトラッピングに関する研究
Project/Area Number |
14654075
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 和彦 京都大学, 工学研究科, 助教授 (10335193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 正雄 京都大学, 工学研究科, 教授 (70115830)
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Keywords | イオントラップ / 質量選択的検出 / イッテルビウムイオン / レーザー冷却 |
Research Abstract |
質量選択検出型イオントラップ装置の設計と試作を行った。室温で多数個のイオンをトラップする場合も電気的検出法等で観測可能とするために、リング電極の直径を34mmと大型のトラップとし、閉じ込めRF周波数300kHzでポテンシャル中の振動周波数が60kHzとなる設計とした。トラップ中のイオンが発する蛍光も、同時に観測可能とした。真空引きを行い、各部の動作を確認した。 研究対象はイッテルビウムイオンであり、レーザー冷却に必要なレーザーの波長は370nmと935nmである。波長370nm光源は、2種類の半導体レーザーの和周波混合を、2波長ともに共鳴した外部共振器を利用して発生させた。出力約20μWが得られ、これはレーザー冷却に充分なパワーである。吸収線に同調が取れることを、波長計によって確認した。波長935nm用光源は、ほぼ全ての同位体シフトをカバーする連続掃引範囲が10GHz弱の外部共振器型半導体レーザーを作成した。トラップ中のイソテルビウムイオンの光ガルバノ信号を検出し、波長同調を確認した。 イッテルビウムには複数の同位体が存在し、水素化物を混同することなく検出するには特定の同位体を選別したものを使用する必要がある。このために使用するenriched isotopeは通常酸化物で供給されるので、イオントラップ装置に装着する前に、これを金属イッテルビウムに還元しておく必要がある。具体的には、ミッシュメタルと酸化イッテルビウムを混合して加熱し反応させ、発生する金属イッテルビウム蒸気を回収する。大学のような小規模の実験室内でこれを行う方法は知られていなかったので、小型のるつぼと真空蒸着装置で可能な還元法を工夫し、enriched isotopeの金属イッテルビウムの生成に成功した。
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