2002 Fiscal Year Annual Research Report
自発的スピン分離を応用した狭ギャップ半導体反転層によるハーフメタリック状態の実現
Project/Area Number |
14655001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
陽 完治 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (60220539)
|
Keywords | インジウム砒素 / スピン軌道相互作用 / 狭ギャップ半導体 / ラシュバ振動 |
Research Abstract |
p型インジウム砒素の表面反転層の電子は、狭ギャップ半導体を反映してバンド間遷移を起こし基板の価電子帯へトンネルする。トンネル分光解析によりこのトンネル電流特性は表面反転層の電子状態を反映したものになっていることが予想される。インジウム砒素の表面反転層における2次元電子のバンドは、その強いスピン軌道相互作用によりスピンによる縮退が解けており、そのエネルギー分散関係は、ガンマ点で2つのバンドが交錯するため状態密度に不連続が生じる。この不連続点から低いエネルギー領域のエネルギー幅の大きさは、スピン軌道相互作用の強さを表す指標になっているが、その特異な磁場依存性を観測してきた。特に今年度は、ショットキー電極金属が直接p型インジウム砒素基板に接触した構造においてもその表面反転層の電子状態に起因する2つの電流ピークを観測し、その磁場依存性を詳細に調べた。表面障壁層ではなく金属と半導体の禁制帯で挟まれた3角ポテンシャルにおいてもこのような明瞭な反転層の電子状態に起因するトンネル電流ピークが観測されたということは、金属/インジウム砒素基板間の界面の欠陥に起因する不純物電子準位が高い濃度の電子により十分スクリーンされていることを示唆すると同時に、半導体ヘテロ接合ができている場合の実験結果を裏付けることを意味する。 2次元電子のスピン軌道相互作用に起因する「スピンギャップ」を直接観測できているとしたら、超伝導ギャップの直接観測に相当する画期的なことであるが、今後、これらの分光結果が本当に2次元電子のスピン軌道相互作用を反映しているものか否かを確定する実験を予定している。さらに、横方向に一定電流を流すことによって確定した横方向kベクトルを与え、スピン軌道相互作用によるスピン固有値を得る実験も計画している。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Y.Katano, T.Doi, H.Ohno, K.Yoh: "Surface potential analysis on doping superlattice by electrostatic force microscope"Appl.Surf.Sci. 188. 399-402 (2002)
-
[Publications] Hiroshi Ohno, Kanji Yoh, T.Doi, Agus Spagyo, K.Sueoka, K.Mukasa: "Spin injection with Fe/InAs hybrid structures"Int.Phys.Conf.Ser. (IOP). 170. 275-280 (2002)
-
[Publications] H.Ohno, K.Yoh, K.Sueoka, K.Mukasa, M.E.Ramsteiner: "Spin-Polarized Electron Injection through an Fe/InAs Junction"Jpn.J.Appl.Phys.(Express Letter). Vol.42 Part.2. L1-L3 (2003)
-
[Publications] Kanji Yoh, Hiroshi Ohno, Y.Katano, K.Mukasa: "Spin Injection from a Ferromagnetic Electrode into InAs Surface Inversion Layer"Journal of Crystal Growth. (2003)
-
[Publications] K.Yoh, H.Ohno, Y.Katano, K.Sueoka, K.Mukasa: "Direct spin injection from a ferromagnetic metal into a semiconductor"International Symposium on Mesoscopic Superconductivity and Spintronics 2002 (World Scientific Publishing). (2003)