2003 Fiscal Year Annual Research Report
モノクローナル抗体を反応場として用いた天然抗がん剤の新規合成法の開発
Project/Area Number |
14655343
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
上里 新一 関西大学, 工学部, 教授 (50111969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 武幸 摂南大学, 薬学部, 助教授 (50178224)
長岡 康夫 関西大学, 工学部, 助教授 (90243039)
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Keywords | モノクローナル抗体 / ビンブラスチン / タキソール / ビンドリン / カサランチン / Baccatin III / 立体選択的反応 / 反応場 |
Research Abstract |
1.モノクローナル抗体を反応場とする抗腫瘍剤vinblastine(VLB)の立体並びに位置選択的合成 deacetylvinblastine(deacetylVLB)-thyroglobulin(TG)複合体を抗原としてBalb/cマウスに免疫させ、脾臓細胞とミエローマ細胞SP2/0-Ag14とを融合させた。次いで、クローニングすることにより、抗vinblastineモノクローナル抗体産生細胞株を3種得ることに成功した。そのうち、抗体価の最も高かったモノクローナル抗体IgG1(MAb-10-A9)を用いてVLB合成を実施することにした。即ち、MAb-10-A9産生細胞株をBalb/cヌードマウス腹腔内で培養して、大量のMAb-10-A9を得た。ついで、単量体性アルカロイドvindolineとcatharanthineとから容易に誘導される二量体性アルカロイドanhydrovinblastine(anhydroVLB)を出発物質として、前記抗体の存在下、酸素及びNaBH_3CNと反応させたところ、82.2%の変換率で立体選択的並びに位置選択的にVLBが得られた。VLBのC-4'水酸基立体異性体であるleurosidineは全く生成しなかった。この度の結果は、VLBのような複雑な構造をもつ化合物をモノクローナル抗体を用いて合成に成功した初めての例であり、平成16年2月に特許出願した。目下、学術雑誌に投稿準備中である。 2.モノクローナル抗体を反応場とする抗腫瘍剤taxolの合成 2'-succinyltaxol-TGを抗原としてDDYマウスに免疫させ、血清に抗体価の上昇を認めた。そこで、脾臓細胞とミエローマ細胞SP2/0-Ag14とを融合させた。目下のところ、比較的抗体価の高い抗taxolモノクローナル抗体産生細胞株を1種類得ている。本細胞株をBalb/cヌードマウス腹腔内で培養して、大量のMAT-01-G12を得た。本抗体を用いて、アルコールユニット(BaccatinIII)とエステルユニット(13位側鎖)とを、エステル交換反応によりtaxolへ誘導することを企図している。そのための各ユニットの合成は既に終了し、合成の準備は整った。
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