2002 Fiscal Year Annual Research Report
シロアリ兵隊カーストが分泌する化学的防衛物質の解析
Project/Area Number |
14656049
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
太田 雅也 福山大学, 生命工学部, 講師 (00203802)
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Keywords | シロアリ / 額腺分泌物 / セラミド / 兵隊カースト / スフィンゴシン |
Research Abstract |
1.Coptotermes formosanus兵隊カースト額腺分泌物中の脂質成分の解析 シロアリの兵隊カーストの頭部を刺激して得られた分泌液をFolch分配で水溶性画分と脂溶性画分とに分離した。脂溶性画分は、分取用薄層クロマトグラフィーを用いて移動度の異なる成分に分画し、単離した各成分をMALDI-TOF/MSとGC-MSで分析した。その結果、全脂肪酸含量の20%は、遊離型で存在し、それらはリグノセリン酸(24:0)とヘキサコサン酸(26:0)であった。一方結合型の脂肪酸を含む成分は、アルカリに対して安定であり、TLCの移動度と分子量から遊離のセラミド分子であった。これらセラミド分子は、そのスフィンゴシン塩基と脂肪酸組成の違いによる3種の分子種が存在し、このうち主成分は、炭素数18〜22の2-ヒドロキシ飽和脂肪酸と炭素数18のジヒドロキシスフィンゲニンまたは、炭素数16および20のジヒドロキシスフィンガジエニンからなる分子種であった。さちに、特徴的な長鎖塩基として、炭素数14のトリヒドロキシスフィンゲニンが存在していることを見い出した。過ヨウ素酸酸化とオスミウム酸化を組み合わせて解析した結果、この長鎖塩基の構造は、三番目のヒドロキシル基がアルキル基の9位の位置に結合し、さらに6位の位置に二重結合が存在する、1,3,9-tri-hydoroxy-2-amino-6-tetradeceneという新規な構造であった。 2.Coptotermes formosanus兵隊カースト額腺分泌物中の水溶性成分の解析 Folch分配で得られた水溶性画分は、さらにSDS-PACEで20〜25KDaの間に分子量の異なる3種のタンパク質成分の存在を見い出した。これらタンパク質のN-末端側の配列は、いずれも既知のタンパク質との相同性がない事から,兵隊カースト特異タンパク質と考え、解析を進めている。
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