2002 Fiscal Year Annual Research Report
性産業労働者(CSW)の性感染症危険因子と性行動変容要因の分析
Project/Area Number |
14657098
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中園 直樹 神戸大学, 医学部, 教授 (50113593)
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Keywords | 性産業労働者 / 性感染症 / クラミジア / コンドーム / オーラルセックス / 膣性交 / セイフ セックス / 風俗 |
Research Abstract |
大阪の歓楽街の性病診療所を定期的に受診しているCSW296人を対象に以下の調査ができた。 (1)コンドーム使用状況、(2)STDに対するアンケート調査、(3)各種STIの血清検査である。 以下のことが判った。 コンドーム使用は性行為の相手、性行為の形態により差が見られた。客相手のオーラルセックス(OS)ではコンドーム使用率は10%以下と低く、膣性交では60%台であった。対象が恋人や夫の場合ではコンドームの使用率はOSは客の場合と変わりないが、膣性交では20%台であった。 STDの予防にコンドームの有用性の認識は、膣性交では極めて高いが、OSでは3分の2程度と低かった。OSによるSTDの蔓延の危険性が懸念された。 CSWで罹患が最も多かったのはクラミジア感染であった。約60%が過去に感染、あるいは現在感染していた。問題のHIV陽性者は1名もいなかった。 クラミジア感染の有無と関連がありそうな因子を分析した。 教育(教育歴12年)、喫煙、風俗歴(通算の風俗歴年数)、顧客数、ピルの使用の有無、中絶歴の有無などが因子として抽出されたが、95%CIオッズ比で有意であったのは、教育(教育歴12年)、顧客数、ピルの使用の有無であった。すなわち、クラミジア感染は通算の教育歴が12年未満のCSWに、週間の顧客数が20人未満のCSWに、ピルを非服用のCSWに多いことが判った。 また。恋人や夫との性行為でOS、膣性交でコンドームを使用しないCSWの方がクラミジア感染が多いことも判った。 CSWのセックスライフに恋人や夫が挟まることで、CSW、客、一般(恋人、夫)などの感染サイクルでSTDが蔓延する可能性が示された。しかも感染経路対策のコンドーム使用の問題点が介在することが指摘できた。
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Research Products
(1 results)