2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14657395
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鵜川 眞也 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (20326135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 高史 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (90244540)
島田 昌一 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20216063)
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Keywords | 痛覚 / 受容体 / カプサイシンレセプター / VR1 / アシドーシス / 水素イオン / acid-sensing ion channel / ASIC |
Research Abstract |
痛覚受容体研究の分野ではポリモ-ダルな痛覚受容体として単離されたカプサイシンレセプター(VR1)が脚光を浴びており、この受容体が、カプサィシシや高熱の他に、水素イオンでも活性化されることからアシドーシスに伴う痛みもこの受容体が担うと一般に考えられている。一方、痛覚受容器には水素イオンをリガンドに持つASICイオンチャンネル遺伝子ファミリーも発現している。ASICもVR1と同様にアシドーシス時に活性化されると考えられるにもかかわらず、痛覚を惹起・伝達する直接的な証拠が提示されていなかったためか、これまであまり注目されていなかった。しかしながら、我々が行うたヒト疼痛誘発試験の結果によると、酸皮下注射(PH>6.0)で誘発される痛みは、VR1の特異的阻害剤であるカプサゼピンでは抑えられないが、ASICの阻害剤であるアミロライドでは、ほぼコントロールレベル(pH7.4)にまで抑制されることがわかった。また、アミロライドはカプサイシンの痛みは抑制しなかったことから、アミロライドは痛み伝達の途中経路を遮断するのではなく、痛みを発生させるASIC自体を抑制することで痛みを抑えていると考えられた。pH5.0付近では、アミロライドの痛覚抑制効果は減弱するものの、それを補うかのようにカプサゼピンが部分的な痛覚抑制効果を示した。このことは、通常のアシドーシスにおいてはASICが痛覚発生の主要な役割を担っており、pH5.0以下の強いアシドーシスにおいてはVR1も痛みの発生に寄与していることを意味している。これらの結果は、英論文誌Journal of Clinical Investigationのハイライトにも取り上げられた(October 21 issue of the J Clin Invest 110, 1185-90(2002))。
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Research Products
(1 results)