2002 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌の転移能亢進と治療抵抗性獲得におけるHMGI(Y)の役割に関する研究
Project/Area Number |
14657407
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高羽 夏樹 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80294081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 明彦 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20093388)
野々村 祝夫 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30263263)
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Keywords | 核マトリックス / high mobility group protein / 前立腺癌 |
Research Abstract |
本研究の検討課題のひとつは、前立腺癌および正常前立腺におけるHMGI(Y)[high mobility group protein I(Y)]の発現の確認である。前立腺癌は正常組織間に浸潤するため、癌と正常を区別して各々の組織内RNA又はタンパクを抽出し、HMGI(Y)は通常不可能である。このため、前立腺におけるHMGI(Y)の発現は、免疫組織化学により検討する必要がある。3例の前立腺癌を含む前立腺および1例のリンパ節転移巣を免疫組織化学で検討したが、全てホルマリン固定、パラフィン包埋の臨床検体である。転移巣では抗HMGI(Y)抗体による強い染色を認め、前立腺内の癌組織では、弱い染色を認めた。前立腺の正常組織では、上皮細胞では染色を認めず、基底細胞の一部で弱い染色を認めた。免疫組織化学法に用いたSanta Cruz社の抗HMGI(Y)抗体は現在入手できる唯一の市販の抗体であるが、ホルマリン固定、パラフィン包理した臨床検体を用いた、この抗体による免疫組織化学の報告はない。従って、前立腺癌の臨床検体を用いて我々が行った上述の免疫組織化学が適切な方法であるかの検証が必要であると考えた。この検証のため、正常と癌が容易に区別できる腎癌の臨床検体を用いた。正常および癌のRNAを用いたRT-PCRの結果と、同一症例のホルマリン固定、パラフィン包埋した検体を用いた抗HMGI(Y)抗体による免疫組織化学法の結果を比較することにより、我々の免疫組織化学法が適正であるかを判断することにした。11例の腎癌症例の正常と癌のRT-PCRを行ったところ、全例の癌組織内でHMGI(Y) RNAの発現が確認され、3例の正常組織内では全く発現していないことが確認された。今後これらの腎癌症例の免疫組織化学法を行い、実験方法の適正化を行った後、前立腺癌症例の免疫組織化学法を進める予定である。
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Research Products
(1 results)