2002 Fiscal Year Annual Research Report
山岳(八方尾根)降雪中の鉛同位体比測定によるアジア大陸からの越境大気汚染の定量化
Project/Area Number |
14658155
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
村野 健太郎 独立行政法人国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 主任研究員 (40109905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鹿角 孝男 長野県衛生公害研究所, 大気部, 主任研究員
川村 實 長野県衛生公害研究所, 大気部, 主任研究員
向井 人史 地球環境研究センター, 研究管理官 (30157713)
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Keywords | 越境大気汚染 / 八方尾根 / 降雪 / 鉛同位体比 |
Research Abstract |
14年4月から15年3月までの間に、八方尾根において60検体以上の降水試料を採取した。降水は湿性降下物(降雨と降雪)を1日単位で採取したものと、降雪サンプラーにより2週間単位でバルク採取したものの2種類である。これらの試料をメンブランフィルターでろ過し、溶解性成分(ろ液)と不溶解性成分(残査)に分けて保存した。既往の研究では降水に硝酸を加えて一括して分析がなされているが、溶解性と不溶解性に分けることでより多くの情報が得られると考えた。 予備試験として誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)装置で溶解性鉛濃度の測定を行った結果、鉛濃度は1〜12μg/Lの範囲にあった。安定同位体比(^<207>Pb/^<206>Pb、^<208>Pb/^<206>Pb)の測定はフィールドブランクを考慮して0.8μg/L以上の濃度の試料について行うこととし、ICP-MS法による分析条件の基礎的な検討を行った。同位体比の測定には高い分析精度を必要とするため、同位体比測定用の標準物質であるSRM981を用いて標準液を調製し、ブランク値の扱い、測定モード、測定可能な濃度範囲、測定時間等について検討した。また、不溶解性分については酸分解が必要なためPTFEビーカー中で酸分解を行うこととし、高純度試薬を用いた分解方法の検討を行った。 今後分析を進めて鉛安定同位体比のデータを蓄積し、気象データと合わせた解析を行う。
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