2002 Fiscal Year Annual Research Report
造血前駆細胞の同定および造血細胞の分化調節機構の解析
Project/Area Number |
14704034
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 敏浩 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (70343324)
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Keywords | 造血前駆細胞 / 造血幹細胞 / 分化決定 / 転写因子 / サイトカイン |
Research Abstract |
我々は造血細胞の各系列・各分化段階にある前駆細胞の純化を通して,造血細胞分化のメカニズムの研究を進めている.マウス骨髄および胎児肝臓において,リンパ球系および骨髄球系共通前駆細胞とその下流に位置する顆粒球・単球,赤芽球・巨核球系前駆細胞の純化に続き,巨核球前駆細胞の純化にも成功した(PNAS,2003).セルソーターを用いて,これら前駆細胞群を単離し,転写因子やサイトカインレセプターなど分化関連遺伝子の発現をsingle-cell RT-PCR法で検討した.骨髄系共通前駆細胞は,リンパ球系関連遺伝子の発現は抑制されているが,G-CSFレセプターやEpoレセプター遺伝子を含む下流の赤芽球・巨核球系,顆粒球・単球系の双方の関連遺伝子を,1個の細胞が同時に複数発現していることが明らかになった.リンパ球系前駆細胞はT細胞およびB細胞関連遺伝子を複数かつ同時に発現していた.このことは,未だ複数の系統へ分化可能な前駆細胞は,その下流の系統に関連する遺伝子を同時にかつ複数発現することで,分化の指令に対して常に準備状態にあり,細胞内的にも分化決定の可塑的段階にあることが明らかとなった(Dev Cell,2002).また我々は,ヒト骨髄においてCD34陽性CD38陽性分画中に骨髄系共通前駆細胞とその下流に位置する顆粒球・単球,赤芽球・巨核球系前駆細胞の純化を行った(PNAS,2002).純化した前駆細胞群の表面マーカーは,骨髄系共通前駆細胞はCD45RA陰性IL-3レセプター弱陽性,顆粒球・単球系前駆細胞はCD45RA陽性IL-3レセプター弱陽性,赤芽球・巨核球系前駆細胞はCD45RA陰性IL-3レセプター陰性で,どれも自己複製能やリンパ球系への分化能は有さず,in vivoおよびin vitroにおいて規定された系列にのみ分化した.今後これら単離可能となったヒト造血前駆細胞群を用いて,ヒト造血細胞の分化決定機構の解明および白血病・赤芽球癆・血小板減少症など造血器疾患の病態解明の研究を行う予定である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Miyamoto T他6名: "Myeloid or lymphoid promiscuity as a critical step in hematopoietic lineage commitment"Development Cell. 3. 137-147 (2002)
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[Publications] Manz M, Miyamoto T, Akashi K, Weissman IL: "Prospective isolation of human clonogenic common myeloid progenitors"Proc Natl Acad Sci USA. 99. 11872-11877 (2002)
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[Publications] Na Nakorn T, Miyamoto T, Weissman IL: "Characterization of mouse clonogenic megakaryocyte progenitors"Proc Natl Acad Sci USA. 100. 205-210 (2003)