2004 Fiscal Year Annual Research Report
破歯細胞形成におけるRANK・RANKLの発現とOPGの抑制効果に関する研究
Project/Area Number |
14704051
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡辺 淳一 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80313550)
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Keywords | OPG / RNKL / 再植 / 破歯細胞 / 歯根膜細胞 / 歯根吸収 / 外傷 / 保存液 |
Research Abstract |
OPG(osteoprotegerin)添加溶液の歯牙用保存液としての効果を判定するために、生後4週齢ラットの上顎第一臼歯を用いて再植実験を行った。全身麻酔下のもと、抜去した右側第一臼歯を0.1,10,1000ng/mlに調整したOPG溶液中に約10分間保存した後、直ちに再植を行った。対照群には保存液として生理食塩水を用いた。 再植処置後14日目に治癒の良否が組織学的に判定可能であることが確認された。対称群(生理食塩水)と比較して、OPG0.1ng/ml群では、治癒の良否に明らかな差は認められなかった。しかしながら、OPG10ng/ml群および1000ng/ml群では明らかに治癒良好例の割合が増加した。 以上の結果から、OPG(OCIF)添加溶液は、外傷などで脱落した歯牙を保存するのに、有用であることが示唆された。 5週齢のOPG遺伝子欠損マウスを用いた再植ならび脱臼を行った。全身麻酔下のもと、上顎第一臼歯を抜去し直ちに再植を行った(再植群)。また、脱臼操作も同歯牙に対して行った(脱臼群)。処置後1,3,7,14,28日目に組織学的観察を行った。対称群として野生型マウスで同様の処置を行った。 処置後1,3日目には、OPG遺伝子欠損マウスの再植群ならび脱臼群共に、歯根を吸収する破歯細胞が出現し、対処群に比較して著しく増加しているのが観察された。14日目には歯根の内部からも吸収されている像も観察され、歯牙全体として大きく吸収を受けていた。28日目には歯牙がほぼ吸収されており、骨組織に置換されていた。 以上の結果から、OPGの欠損によって、外傷などによって歯根膜に傷害が生じた場合、破歯細胞が出現し、同細胞によって歯根吸収が行われ、骨組織に置換されることが組織学的に観察された。 損傷した歯根膜細胞はRANKLを発現して破歯細胞形成を促進する可能性、また、OPGは傷害を受けてRANKLを発現するようになった歯根膜細胞を抑制し、破歯細胞形成を抑制する可能性がそれぞれ推察された。
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