2002 Fiscal Year Annual Research Report
多元的福祉サービスの供給体制における運営システムの研究
Project/Area Number |
14710151
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Research Institution | Chubu Gakuin University |
Principal Investigator |
小松 理佐子 中部学院大学, 人間福祉学部, 助教授 (40301618)
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Keywords | 運営システム / 多元化 / 介護保険 / 契約 / 社会福祉協議会 / 公私関係 / 公的責任 / 市町村 |
Research Abstract |
本研究の初年度にあたる今年度は、措置制度から介護保険制度へと福祉サービス供給システムが変化したことによって、運営システムがどのように変化しているかについての実態把握を中心として進めた。その一つは、措置制度の時代に「福祉先進自治体」といわれた地域の介護保険導入後の実態の把握を行った。「先進自治体」とは、市町村による一元的なサービス提供体制をとっている自治体ということができる。ヒアリングを実施した秋田県鷹巣町では、町が介護保険事業者となり、杜会福祉協議会に委託するというかたちで介護保険サービスの提供が行われていた。町が設置し現在は福祉公社(財団法人)が運営している老人保健施設に関しても、町費から経費を上乗せし、基準を上回る人員を配置して運営を行っている。その結果として、他の介護保険事業者が参入しにくく、介護保険導入後も従来とほとんど変化のない提供体制となっている。また、町費を投入しての基準を上回るサービスの提供は、町費を圧迫し始めていることも否めない。二つ目として、サービス提供主体の多元化の状況の異なるタイプの自治体をモデル的に抽出し、それらのタイプにおける実態の把握を行った。ヒアリングは、多元化の進行している横浜市と、行政がコントロールしながら多元化を進めている岐阜県中津市で行った。横浜市では、行政や杜会福祉協議会が関わることなく多様なサービス提供主体が参入しており、その結果としてその自治体内でのサービスの提供の評価を困難なっていた。中津川市では、地域ごとに中心となってサービスを提供する事業者を整理してサービスを提供しており、その結果として行政は実態を把握しやすい状況となっている。しかし、それぞれの地域では一元的なサービス提供体制と変わりない状況にあるということも事実ある。以上のような成果を踏まえて、次年度は多元的なサービス提供システムのモデルの検討を行う計画である。
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