2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14710189
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田中 理絵 山口大学, 教育学部, 講師 (80335778)
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Keywords | 社会化 / 家族崩壊 / 子どもの発達 |
Research Abstract |
本研究の目的は、相互作用論的視点を採り入れ、既存の二次的資料ではなく家族崩壊を経験した子どもの主観的側面から生活史調査を実施してデータを蒐集することで、従来の家族病理研究では捉えることが不可能であった家族崩壊後の子どもの社会化過程を明らかにすることである。そのため、本年度は、以下のような調査研究を実施した。これら研究の成果は、次年度以降、学会における口頭発表や論文にまとめて公表していく予定である。 実証的研究:家族崩壊経験者への面接調査などによる生活史的事例の蒐集 研究1.1 面接調査による生活史調査:子ども期に家族崩壊を経験して現在は成人になっている者と、いま現在、子ども期にあって家族崩壊を経験している者との双方に対するインタビュー調査を実施した。調査場所は、東京・大阪・名古屋・山口・福岡県。 研究1.2 養護施設におけるフィールドワーク:1年間にわたり、週1回(平均4時間/回)のペースで児童養護施設(北九州市)において参与観察を実施し、家族崩壊後の子どもたちの日常生活の実態について知見を蓄積した。 研究1.3 質問紙調査の実施:本研究では、「子どもが家族崩壊を経験することの社会的意味」を解明するために、こうした子どもらに対する社会側からの反応や眼差しをも理解する必要があると考える。そのため、本年度は、小学4,6年生、中学2年生の子どもを対象に、子どもにとって父親・母親がそれぞれどのような社会的意味を持つのかに関する質問紙調査を実施した(東京23区;都市部、北九州市;工業地域、山口市;農村部。標本数950)。次年度においては、同様の質問紙調査を20歳以上の成人を対象に実施し、比較研究を進める予定である。 理論的研究:スティグマ理論に関する研究:「家族崩壊を経験した子ども」という社会的カテゴリーはスティグマの性質を有するため、スティグマ理論について、医学・教育学・社会学分野における関連文献の講読を行い、理論的研究の基礎を習得した。
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