2002 Fiscal Year Annual Research Report
欧州企業のグローバル化とサプライヤー・システムの再編成:電機企業ABB社を中心に
Project/Area Number |
14730115
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Research Institution | Kagoshima Prefectural College |
Principal Investigator |
岸田 未来 鹿児島県立短期大学, 商経学科, 講師 (60342424)
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Keywords | スウェーデン / 欧州電機産業 / ABB社 / アセア社 / サプライヤー / グローバル化 / ヴァッテンフォール社 / シュラハンマー・バルク社 |
Research Abstract |
14年度は,ABB社を中心としたサプライヤー関係の実態を把握し,その特徴を理解するために,1.現状についてのヒアリング調査,2.文献資料の収集,3.競合する日本電機産業(重電を中心に)のサプライヤー状況の整理を行った。 1.ABB社を中心としたサプライヤー関係の調査は,当初ABB社とABB社に部品などを納入しているサプライヤー企業との関係を中心に明らかにする予定であった。しかし,ABB社およびドイツのシーメンス社へのサプライヤー政策に関するヒアリング調査は,企業内秘密ということで実現しなかった。そのため,調査対象を,ABB社へ原材料(鉄鋼等)を供給している企業とABB社との関係,ABB社が資機材を供給している電力会社との関係に変更し,これら企業間の供給関係が,近年のABB社のグローバルな展開とともにどのように変化しつつあるのかを明らかにすることとした。電力会社(ヴァッテンフォール社)でのヒアリング調査でも同社の調達政策が電力市場の自由化と同社のM&Aを通じた欧州大陸諸国への展開によって,10年前と比較して大幅に変化していること,10年前の中央集権的購買体制から,各地域別の購買体制を中央レベルで調整するコーディネートされた購買政策が実行されつつあることが明らかとなった。 2.文献資料の収集では,主にABB社(旧アセア社)がどのような原材料調達を行っていたのか,またその調達体制が,1970年代以降の経営悪化とグローバル化のプロセスにおいて、どのような変貌をとげたのかに関する資料を,同社の中央アーカイヴスよりプロトコルを中心に収集した。これら資料により,ABB社(旧アセア社)が,1970年代の経営悪化状況下で,鉄鋼供給体制を国内調達から海外輸入へと転換させたことが明らかとなった。この過程において,同社のグループ子会杜であるシュラハンマー・バルク社の鉄鋼事業が閉鎖された。このことは,ABB社(アセア社)が1980年代に劇的な海外展開を遂げる転換点となった。 3.欧州電機(重電)企業のグローバル化の特徴を理解するため,対照的にグローバル化が遅れているといわれている日本重電産業について,そのグローバル化の現状とサプライヤー関係の状況についての概観を得た。この成果は論文としてまとめた。
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Research Products
(1 results)