2003 Fiscal Year Annual Research Report
摂動型波動方程式に対する重みつき時空評価に関する研究
Project/Area Number |
14740114
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久保 英夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50283346)
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Keywords | 波動方程式 / ポテンシャル / 時空評価 |
Research Abstract |
本研究の目的は,相対論に従う粒子の運動を記述する非線型波動方程式において,その線型部分がポテンシャルによって摂動された方程式を解析し,その解の挙動と摂動項がない方程式の解のそれとの違いを調べることである.その手始めとして,重みつき時空評価がどのような形で摂動型波動方程式の解について成り立つか考察した.解の積分表示を得るには一般化されたフーリエ変換を利用すればよいのだが,その積分作用素を評価するには一般化された固有関数と呼ばれるシュレディンガー作用素に対する解の性質を詳しく調べる必要がある.一般に,ポテンシャルに対する仮定を強めれば強める程それだけ固有関数についてもよりよい性質が導かれる.一方,応用上は|x|^<-2>のオーダーで減衰するという仮定が理想である.今回はそれより速く|x|^<-3-0>のオーダーで減衰していてかつ非負値であれば,解を評価していく上で必要となる固有関数に対する情報が得られることが分かった.実際,双対性の議論と組み合わせることで,示すべきことはある種のフーリエ積分作用素の解析に帰着される.その作用素の位相はもとの方程式の主部を反映し,振幅はポテンシャルの影響すなわち固有関数を陽に含むものである.ポテンシャルがない場合には,方程式のローレンツ不変性を活用することで,議論を局所化し位相を扱いやすいものに変更することが出来るが,一般の場合はそう単純ではない.ここでは,ある種の振動積分の評価を丁寧に実行することによって,その困難を克服することができ,結果として解の重みつき時空評価を導くことができた.ただし,振動積分の評価において微分の損失が起こっているため,最終的な評価は摂動項がない方程式の解が満たす評価と較べると弱いものである.現在は,摂動に由来するローレンツ不変性の欠如を微分の損失に押しつけずに済むような議論を組み立てることを模索している.
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Research Products
(1 results)