2002 Fiscal Year Annual Research Report
リエナール型微分方程式系の渦心点問題と第一積分の研究
Project/Area Number |
14740122
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
林 誠 日本大学, 理工学部, 講師 (00267022)
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Keywords | Lienard systems / Center / First integral |
Research Abstract |
リエナール型解析的ベクトル場におけるリミットサイクルの個数を評価することは重要であり,多くの未解決問題が残されている。その本質的な役割を果たすのは,特異点が渦心点であるかどうかの問題である。最近,雑誌Aequationes Mathematicae 63(2002),PP.93-102.に掲載された我々の論文において,リエナール方程式系が局所渦心点をもつための必要不十分条件を与えた。本年度の主研究成果は,この系の一般化である拡張されたリエナール型微分方程式系と呼ばれる2階の微分方程式に対して,その特異点が局所渦心点であるための必要十分条件を与えたことである。従って,上の以前の結果を完全に含んだ成果が得られたのである。更に,この結果の中では正弦関数によってのみ決定される第一積分の存在が示され,渦心点の存在と第一積分の存在が深く関わり合っていることも合わせて見られた。また,減衰項が奇関数である時には,特異点が渦心点であるための必要条件に,係数項の次数にある制度を加えなければならないこともわかった。数値実験により,この制限は弱められることが確認できた。このことは次年度以降の課題の一つである これらの成果を予想,検証するための補助手段として,渦心点に対応しうるソフトの整備,精度の高い解のコンピュータグラフィック化の開発を行った。このことは,掲載予定の論文中の解軌道の図で参照することができる。 研究成果は,神経モデルで有名なFitzHugh-Nagumo系に応用され,この系には渦心点が存在しえないことを与えた。この結果は,ルーマニアで開催された国際会議Applied and Industrial Mathematicsにて発表され,Global analysis for a limit cycle of FitzHugh-Nagumo systemというタイトルでProceedings of CAIM2002に掲載予定である。また以上の成果はFar East Journal of Mathematical Sciencesという雑誌にOn the local center of generalized Lienard-type systemsというタイトルで掲載が決まっている。
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[Publications] M.Hayashi: "On the local center of an analytic Lienard system"Aequationes Mathematicae. 63. 93-102 (2002)
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[Publications] M.Hayashi: "On the local center of Lienard-type systems"Publication RIMS Kokyuroku. 1254. 142-150 (2002)